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紅茶とお菓子について書いているほっこりブログです

限りなく創作の臭いがする「東日本大震災いい話」が出回る

2013年3月10日に、以下の画像とツイートが投稿がされ、10日〜11日にかけて大量にRTされた。

https://twitter.com/aipoyo1122/status/310773126713716736/photo/1 (現在は削除ずみ)→Googleキャッシュ
上記のツイート後に、本人は以下のように呟いている。

このエピソードをテキストに起こしてみた。

私のお父さんは私を助けて津波に流されていった。
なんであの時繋いでいた手を離しちゃったんだろう。
何度も何度も自分を恨んだ。
(自分なんか生きてる価値なんてない。自分
が手を離していなければ...)
お父さんは私と繋いでいた手が離れそうになった時
こう言った。
「お前は前を向いて一生懸命にいきろ!後ろを振り
向くな!前だけ見ろ!お父さんは空からずっと見
守ってるからな!最後にお前と一緒に居れて良かっ
た。お父さんの子供として生まれてきてくれてあり
がとう。本当にしあわせだった。できることならも
う少し一緒に暮らしていたかったな。あと6年あれ
ば成人式も見れたのに。お母さんと妹のことを頼む
よ!こんなお父さんでごめんな!またいつか会おう
な。愛してる。」そしてお父さんは自ら手を離した
今でも鮮明に覚えてる。思い出すだけで
涙が止まらなくなる。
でももう私は泣かない!泣くんだったら笑顔でいる!
お父さん、私のことを命を懸けてて守ってくれて
ありがとう!お父さんの分まで精一杯生きます!
東日本大震災 H23.3.11
1日でも早い復興を願って...

この文章を読んで感じたことをまとめてみた。
(1)文章がおかしい
・!の後に1文字空けない→「ありがとう!お父さん」
ら抜き言葉が散見→「居れて良かった」「成人式も見れたのに」
三点リーダーがピリオド→「願って...」
・カッコの前に句点→「な。愛してる。」そして」

(2)文章の構成がおかしい
このエピソードは、はじめに「お父さんの手を離して後悔している!」と、現在のネガティブな感情を表し、その後場面が変わって、津波で流れるシーンの説明(過去)とお父さんのセリフ(過去)となる。その後「ありがとう!お父さんの分まで精一杯生きます!」(現在)と発表。お父さんの言ったセリフに影響されてポジティブになっているなら、最初から「自分なんか生きてる価値なんてない」と思わないのでは?

(3)シチュエーションがおかしい
私には14歳の娘もいないし、津波で流されそうになった経験もないので断言できないが、手を離す・離さないといった生きるか死ぬかの場面で「お前は前を向いて(略)またいつか会おうな。愛してる」なーーんて、長々と言えるだろうか? 本当にこんな場面に遭遇したら「頑張れ」とか「生きろ」とか一言二言しか言えないのでは?

(4)画像がおかしい
そもそも、なぜこのエピソードが画像になっているか疑問。

な。愛してる。」そしてお父さんは自ら手を離した
今でも鮮明に覚えてる。思い出すだけで

の行間が、他の箇所と違うのも違和感を感じるし、無理矢理拡大したためか、ノイズも多い。

(5)ソースが書かれていない
そもそも、このエピソードはソースが書かれていない。もし本当であれば、新聞やテレビ局が放っておくはずがない。このエピソードをアップした女性に以下のように質問したユーザーがいた。

が、本人からの返答はなかった。
私も画像検索やテキスト検索を行ったがヒットしなかったので、元ネタを知っている人は教えて欲しい。

問題の女性は

と昨日呟いているので、ぜひこのエピソードの出所や本当か嘘かはっきり説明して欲しい。

今回のエピソードは「本当だ」という証拠がないのと同様「嘘だ」という決定的な証拠はない。ただ、内容の陳腐さやエピソードを裏付けるソースもないので、創作なのではないだろうか?
もし嘘の情報を公開するのはもちろん、それを「イイ話でした・泣きました」と何も考えずにRTするのも「東日本大震災被害者への冒涜」になるのではないだろうか。

震災創作デマといえば、日蓮宗 華光寺別院の尼僧である瀧本光静氏による「気仙沼で発見された携帯の最後のメール」というデマがあった。日蓮宗や瀧本氏問い合わせのメールを送ったが返信もなければ、未だに説明もない。
震災姉妹 最後のメールはデマ!?
「震災姉妹デマメール」その後&作者の自作自演記録
日蓮宗の黙殺と瀧本光静氏の文章盗用疑惑