■釈明できる世界
「盟神探湯」(くがたち)とは、古代の日本で行われた裁判の一種。罪を問われた者は、熱湯に満たされた釜の中に手を入れさせる。無実の場合は手が無傷で、罪がある場合のみ大火傷を負う。
高校の頃、日本史の授業でこのエピソードを聞いたとき、「盟神探湯をやるハメになったら絶対に、火傷するじゃないですか」という質問をした。
先生は「その通り、盟神探湯をやると必ず火傷をする。つまり、古代の日本では『疑われたら、そこでお終い』なんだ」と答えてくれた。
その点、現代日本では「釈明や説明」が自由にでき、インターネットを利用すれば手軽に情報を発信することができる。もし、自分が何かしらの罪や疑惑をかけられたときも、「意見を発表する」ことができる。これは大変素晴らしいことだ。
先日京都亀岡で発生した無免許少年による暴走事故では、ネット上で「こいつが犯人だ!」という一部デマが拡散したが、疑われた少年の一人はmixiで「私は違う」という釈明を行い騒動は収束した(現在その文章は削除されているが)。
■日蓮宗組織は黙殺
さて、今回取り上げるテーマは「東北地方太平洋沖地震の姉妹被害者を捏造した疑惑」でお馴染みの、日蓮宗 華光寺別院である瀧本光静氏についてである。これまでのいきさつは、以下の2つのエントリーを見て頂きたい。
・震災姉妹 最後のメールはデマ!?
・「震災姉妹デマメール」その後&作者の自作自演記録
瀧本氏にも質問のメールを出したのが梨の礫。そこで、彼女が関連しているであろう以下の組織に質問メールを出してみた。
・財団法人全日本仏教会
http://www.jbf.ne.jp/
都道府県仏教会・各種仏教系団体等も加盟した、日本の伝統仏教界における唯一の連合団体
・日蓮宗宗務院
http://www.nichiren.or.jp/
日蓮宗のポータルサイトを運営している。各種告知や発表を行っている。
・日蓮宗総本山 身延山久遠寺
http://www.kuonji.jp/
・株式会社 日蓮宗新聞社
http://news.nichiren-shu.jp/mailto.htm
今回問題となった原稿を掲載した新聞社
・彩図社
http://www.saiz.co.jp/
瀧本氏の著書「最後に伝えたかったこと 〜故人に伝えたい47のメッセージ〜」の発行元
送った組織によって微妙に内容は変更しているが、基本的に以下の質問をした。
質問1 今回の事件についてご存じでしたでしょうか?
質問2 瀧本光静氏は本当に日蓮宗の僧侶なのでしょうか?
質問3 この事件・疑惑についてどのような考え・感想をお持ちでしょうか?
質問4 もしこの疑惑(自著を売るために東北地方太平洋沖地震の被害者を使ったエピソードをねつ造)が事実だった場合、日蓮宗として瀧本光静氏に何かしらのペナルティがあるのでしょうか?
5つの組織にメールを出したが、残念ながらどの組織からも返事はなかった。
今回メールを送った日蓮宗宗務院のWebページに、日蓮の教えとして以下のような記述がある。
「民衆の苦悩を取り除き、より良い社会を作りたい」という一心からはじまった日蓮聖人の教えは、数百年の時を越えて、私たち現代人の心に深く生きづいています。
確かに日蓮の教えは偉大だったのかもしれないが、どうやらそれを伝える組織と人間は機能していないようだ。日蓮宗は日本全国に5000の寺院を有し、信徒は300万人いるそうだが、日蓮上人もきっと悲しんでいるに違いない。
■瀧本光静氏盗作疑惑
さて、ここからは話は変わる(今回のメイン!)。瀧本光静は「一番短いお説法」というブログを運営している。
各エントリーは、瀧本氏が毛筆で書いた「ちょっとイイ言葉」的な画像がアップされ、それに対して瀧本氏がコメントをするスタイルをとっている。実はこの「ちょっとイイ言葉」が、すべて盗用しているのでは? という疑惑がある。また、この「ちょっとイイ言葉」は、瀧本氏のFacebookのウォールにも投稿され、「ありがたい!」「素晴らしい!」「シェアします」と一部では評判のようだ。
稚内北星学園大学の講師をしている小泉氏が、Facebook上でこの盗用問題を追求している。今回小泉氏の許諾を得て、氏が調査したデータを以下掲載する(見やすいように一部編集しております)。
「確かに似ているな〜」というレベルから「これはコピーしたの!?」というものまである。最初に瀧本氏の「イイ言葉」を紹介し、その後「元ネタ」を掲載している。
ぜひみなさんも、その目で盗用しているかどうか判断してほしい。
◎盗用疑惑1
努力せぬ者ほど自分の努力と他の不満を語り
努力する者は希望のみを語る。
瀧本光静 2012年3月21日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/622(魚拓)
元ネタ
努力する人は希望を語り 怠ける人は不満を語る
作家 井上靖「わが一期一会」より
◎盗用疑惑2
あさってのことは考えんでよろしい
そして
昨日のことも考えんでよろしい
瀧本光静 2012年3月18日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/620(魚拓)
元ネタ1
禅が教える「考えない」作法―昨日を悔やむな、明日を思いわずらうな
静岡県出身の医学博士、大学教授、作家 高田明和の著書タイトルより
元ネタ2
もしあなたが明日を生きるなら、
あさってのことは考えないこと。
明日のことだけを考えていたら
あさっては何とか来ます。
ジャズシンガー 綾戸智恵 朝日新聞「どらく」より
http://doraku.asahi.com/hito/interview/html/110805.html(魚拓)
http://doraku.asahi.com/hito/interview/html/110805_02.html(魚拓)
http://doraku.asahi.com/hito/interview/html/110805_03.html(魚拓)
◎盗用疑惑3
競争とは
物から最高を引き出し
人から最低を引き出す。
瀧本光静 2012年3月18日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/619(魚拓)
元ネタ
Competition brings out the best in products and the worst in people.
(競争は、物から最高を引き出し、人から最低を引き出す)
アメリカのメディア王 デビッド・サーノフ
◎盗用疑惑4
己の行動が必ず跳ね返る。教育は鏡育。
瀧本光静 2012年3月5日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/615(魚拓)
元ネタ
教育は鏡育です。
子どもたちにしたことは
いいことも悪いことも
跳ね返ってきますよ。
名言集を集めたサイト「名言集」に2008年6月10日に投稿されたフレーズ
◎盗用疑惑5
人生の目的、
それは目的のある人生を送ること。
瀧本光静 2012年2月22日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/607(魚拓)
元ネタ
The purpose of life is to live a life of purpose.
または
The purpose of life is a life of purpose.
(人生の目的は、目的ある人生を送ることである)
米国のチェスプレーヤー ロバート・バーン
◎盗用疑惑6
大きく切る、と書いて「大切」
ズバッと切ってみよう過去の自分
瀧本光静 2012年2月21日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/606(魚拓)
元ネタ
「大切」という字は大きく切ると書きます。真っ二つにされる覚悟があるからこそ、その人のことを大切にできるんですね。
脚本家 小山内美江子「金八語録〈3〉」より
◎盗用疑惑7
悩めるってのは幸せなのです。
海で溺れたとき悩む者はいない。
瀧本光静 2012年2月13日エントリー http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/602(魚拓)
悩むいうこと自体が やっぱりゆとりがあんねん、もう。
あんさん、海でおぼれそうになって悩みまっか? ただ行くでしょう!
ジャズシンガー 綾戸智恵「人生が変わる1分間の深イイ話」2008年6月23日放送分
◎盗用疑惑8
新たに得ようとするときは両手を広げるのではなくて
まず両手のものを手放すのがいい。
瀧本光静 2012年2月12日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/601(魚拓)
元ネタ
何かを得れば、何かを失う、そして何ものをも失わずに次のものを手に入れることはできない。
作家 開高健
◎盗用疑惑9
幸多き人生へのコツは
何をするかじゃなくて何をしないか。
瀧本光静 2012年2月10日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/600(魚拓)
元ネタ
スティーブのやり方がほかのみんなとちがうのは、
「最も重要な決定は何をするかではなく何をしないかを決めることだ」、
と信じていた点だ
米実業家 ジョン・スカリー(ペプシ社長時代「このまま一生、砂糖水を売りつづけるのか、それとも世界を変えるチャンスをつかみたいか。」とスティーブ・ジョブズに口説かれアップルの社長となったエピソードは有名)
◎盗用疑惑10
大切なのは変われる強さと変わらぬ想い
瀧本光静 2012年2月6日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/597(魚拓)
元ネタ
変われる強さ、 変わらぬ想い
ゲーム「テイルズ・オブ・エターニア」キャッチコピー
◎盗用疑惑11
人生において真に失敗と呼ぶべきは
ミスから学ばぬ生き方である。
瀧本光静 2012年2月5日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/596(魚拓)
元ネタ1
成功を祝うのはいいが、もっと大切なのは失敗から学ぶことだ。
マイクロソフト創業者 ビル・ゲイツ
元ネタ2
私の人生には何の保証もない。だから他の人間の過ちから学ばなくてはいけない
米作家 デイヴ・ペルザー
◎盗用疑惑12
成功は約束されないが成長は自分で約束できる。
瀧本光静 2012年2月4日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/595(魚拓)
元ネタ1
人生において、「成功」は約束されていない。
しかし、「成長」は約束されている
多摩大学大学院教授 田坂広志 「未来を拓く君たちへ」
元ネタ2
成功は約束しないが、成長は約束する
サッカー日本代表監督 アルベルト・ザッケローニ(日本代表監督就任会見にて)
◎盗用疑惑13
罪とは悪を行うことでなく善を行わないこと。
瀧本光静 2012年2月1日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/592(魚拓)
元ネタ
人がなすべき善を知りながら、それを行わないのは、その人にとって罪です
新約聖書 ヤコブの手紙 4章17節
◎盗用疑惑14
人間にもっとも多くの災いを与えるのは人間。
自分にもっとも多くの災いを与えるのは自分。
瀧本光静 2012年1月25日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/588(魚拓)
元ネタ
人間にもっとも多くの災いをもたらすのは人間である。
帝政期ローマの博物学者、政治家、軍人 大プリニウス「自然史」
◎盗用疑惑15
自分が支えていると思っていることに
しょせん支えられてると知る。
瀧本光静 2012年3月28日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/625(魚拓)
元ネタ
自分が支えていると
思っているものに
しょせんは支えられている。
作家 恩田陸「隅の風景」
◎盗用疑惑16
大切なのは幸せになれるかではなくて
幸せと思えるか
瀧本光静 2012年3月26日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/624(魚拓)
元ネタ
しあわせになれるかどうかではなく、
しあわせと思えるかどうか。
歌人・詩人 中島未月「だいじょうぶ。の本」
◎盗用疑惑17
「一」に止まる、と書いて
正しいになるのです。
瀧本光静 2011年12月30日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/571(魚拓)
元ネタ
正しいという字は「一つ」「止まる」と書きます。「どうか一つ止まって判断できる人になっ て下さい。
「3年B組金八先生」より
◎盗用疑惑18
地球はまるい。
終着点に見える場所は出発点かもしれません
瀧本光静 2011年12月28日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/569(魚拓)
元ネタ
地球は丸い。 終着点に見える場所が、 出発点でしかないかもしれない。
元米財務長官 アイヴィー・B・ プリースト
◎盗用疑惑19
見たことないです。
花から始まった花。
瀧本光静 2011年12月22日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/564(魚拓)
同じセリフでもう1つ
見たことがありませんでした。
花から始まった花。
瀧本光静 2012年5月2日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/637(魚拓)
元ネタ
花からはじまる花はない。
タレント 三四六
2005年のポストカード http://cart-imgs-1.fc2.com/user_img/m/mowstore/item_8_1.jpg
◎盗用疑惑20
昨日は過去のもの。
明日は未来のもの。
今、この時は儲けもの。
瀧本光静 2011年12月20日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/563(魚拓)
元ネタ
いうじゃないですか、
昨日とは過去のもの。
明日とは未知のもの。
今日とは儲けもの。
それは、天からの贈り物。
映画「カンフーパンダ」シーフー老師のセリフ
◎盗用疑惑21
一生を終えて後に残るものは
貴方が得たものでなく貴方が与えたものです。
瀧本光静 2011年12月11日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/554(魚拓)
元ネタ
一生の終わりに残るものは、我々が集めたものではなく、我々が与えたものである
哲学者 ジェラール・シャンドリ
(三浦綾子「続氷点」にて引用されている)
◎盗用疑惑22
弱い者ほど相手を許すことができない。
なぜなら許すことは強さの証だからです。
瀧本光静 2011年10月28日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/533(魚拓)
元ネタ
弱い者ほど相手を許すことができない。 許すということは、強さの証だ
インド独立の父 マハトマ・ ガンジー
◎盗用疑惑23
人は年をとるから老いるのではなく、
人は希望を失った時に老いるのだ。
瀧本光静 2011年8月31日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/510(魚拓)
元ネタ
年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。
サミュエル・ウルマン「青春」(松永安左エ門訳)
◎盗用疑惑24
明日は自分の残りの人生において一番最初の日。
瀧本光静 2012年5月9日エントリー
http://yaplog.jp/takimotokousei/archive/639(魚拓)
元ネタ1
今日という日は、残りの人生の最初の一日。
映画「アメリカン・ビューティー」のセリフ
元ネタ2
今日が残りの人生最初の日
須藤 元気の著作タイトル ISBN: 978-4062166294
(一部追記・修正しました)