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紅茶とお菓子について書いているほっこりブログです

ノマドワーカー禿田禿蔵(後編)

前代未聞のはてブ数をゲット

先日書いた「ノマドワーカー禿田禿蔵」の前半まで書いたところで筆者が飽きてしまい、「はてブがたくさんついたら続きを書くよ…」と軽い気持ちで書き、その後忘れていた(よくあること)。
「そういえば、どれぐらいはてブが付いたんだろう?」と思ってチェックしてみると…

な、なんだか凄いことになっている。


なんと、はてなブックマークが「15012123456464654654」もついていた!
これだとよく分からないので、単位をつけてみると
1501京2123兆4564億6465万4654!!!!!
このURLを含まれたツイートでクリックされた数は

93那由多(なゆた 10の60乗)
RTされた件数は

135恒河沙(ごうがしゃ 10の52乗)
世界の人口が70億程度なのに、約1500京もはてブがつき、Twitterは天文学的な数字で拡散された。おそらく、全宇宙のみんなが応援してくれたに違いない…(涙) ありがとうございます。それにしても昨今のノマド・フリーランス人気には驚くばかり。
みんな、そこまで続きが読みたいのか… これは期待に応えねば! とドトールで5時間居座って書き上げた(注文はコーヒー1杯のみ)のがこの「ノマドワーカー禿田禿蔵」の後編です。(前編はこちら
※繰り返しますが、この放送とは一切関係がありません。ご注意ください


ネットメディアで大活躍

さて、喫茶店で携帯乞食…… もとい携帯電話のビジネスに励んでいる禿田氏だが、これが彼の本業なのだろうか? そして、単に喫茶店で仕事をするのが「ノマドワーカー」なのだろうか? 彼に尋ねてみた。
「本業ですか…… メインは執筆業、横文字で言うとフリーライターでしょうかね。書いている媒体はJ-C■ST、ガジェッ■通信、GI■AZINE、ロケッ■ニュース24、探偵ファイ■など、誰もが知っている超一流のネットメディアを舞台に活躍しています」
店員が死んだ目でこちらを見ている。
「ノマドワーカーの達人である私は、もちろん空調代と電気代が必要ない喫茶店で作業をしていますね。インターネットを駆使した取材手法は各方面で高く評価され… え、具体的にどんな手法で記事の執筆をしているか? Twitterのトレンドや2ちゃんねるを元にコピペ、もとい取材をし、記事に信頼性を高めるためWikipediaからコピペ、いや参考にしたり、写真もフリー素材をコピペ、もとい引用して記事を書いています」
禿田氏の目が、脂で汚れたメガネの奥でギラリと光る。
「それから、第二の本業はコンサルティングやセミナー、講演なども行っています。今日は某大学のセミナーに講師として呼ばれています。明日はニコニコ生放送にでます。新聞やテレビといった旧来のアホでバカで豚足で短足なメディアは腐っていますからね、そんなメディアを、インターネットを使った手法で我々が風穴を(略)」
私たち「非情熱大陸」はテレビ側の人間なのだが、(頭が足りないのか)禿田氏は容赦しない。

「ノマドワーカーってのは、いま流行っているようですが、そんな甘いワーキングスタイルじゃないんですよ! どこまで自由に生きられるかという、人生をかけた一大実験ですから」
といって、軽く机を叩く禿田氏。表面が乾いたペリエの瓶が軽く揺れる。
「一つの肩書におさまって仕事をすることに、私なりに危機感を抱いたということはあるんですよ。まあ、仕事がクビになり、必然的にフリーなり、結果、今はライター、コンサルタント、講師といった複数の肩書きを持つことができました」

禿田氏は一枚の名刺を我々に見せてくれた。
そこに「ハイパーメディアネットウォッチャー ハーツゲンコマチ上級ストラテジスト」と書かれていた…

「こういったノマドというのは1人では完結できません。それぞれの専門性とかスキルを持ち寄って、プロジェクトベースで資金や物が集まって、ミッションが終わればまた解散していく。好きな時に、好きなところで働く。古い価値観を脱ぎ捨てたスタイルなんですよ! 店員さん、お水お代わり!」
禿田氏のドヤ顔がまぶしくなる一方だが、喫茶店の店員は彼のオーダー(?)を無視していた。

上級ストラテジストのソーシャルメディア・スキルアップ・セルフブランディング講座

禿田氏がセミナーを行うというので同行した。都内から2時間以上かかる、埼玉奥地にある3流私大の薄汚れた会議室だった。
「今回は、学生起業ベンチャーサークル『狢』さんに、ソーシャルメディア・スキルアップ・セルフブランディングについて講演を依頼されたんです。サークルのリーダーである彼とはTwitter経由で知り合い、今回のセミナーもTwitterから生まれたんですよ。参加者もTwitterとFacebookで募りました」
サークルリーダーの彼はにやりと笑い、薄黄色に汚れた歯が現れた。

「時代はソーシャルですよ、ソーシャル。FacebookやTwitterで発言したら、人脈も広がり、仕事もやってきて、夢のような時代です」
禿田氏が言葉を発する度に、サークルリーダーは頷いていた。

意外なことにこのセミナーの参加者は多かった。「ベンチャーして楽して早く金持ちになって、アイドルの卵はもちろんアイドルと性行為に勤しみたい!」といった煩悩オーラーが毛穴から発している人々だ。
彼らの多くは人生に失敗しワーキングプア地獄に陥る。また小さな成功をしても狡猾な大人たちによって食い物にされたり鉄砲玉にされてしまう。そんな未来の犠牲者達の顔をひとり一人しっかり撮影するよう、カメラマンに指示を出した。

禿田氏はホワイトボードの前に立ち、マーカーで大きく文字を書こうとするが、インク切れ寸前のマーカーだったらしく、ボードにはモールス符号のような模様が現れた。氏はそんなことは気にせず次のように発言する。
「金もない、コネもない、スキルもない、それが君たちです。そんなアナタ達が会社を興してもすぐにつぶれてしまうでしょう。しかし、ラッキーなことに今はソーシャルメディアの登場によって、社会は大きく変わっていってます。ソーシャルメディアを活用すればあなた達だって、社会で成功することは難しくありません…」
学生たちの目は真剣で、「なるほど」といった顔をしながらノートにメモをとっている。

「企画書を持って「こんな仕事がしたいので、お仕事下さい」とか言わずとも…いわゆる営業行為をしなくても、ソーシャルメディア上で自分自身を発信することによって禿田さんにお会いしてみたいとか、話を聞いてみたいという方が自然と集まってきて、そこから多種多様な仕事が生まれるんです。そしてソーシャルメディア時代で必要なのは、「セルフブランディング」です!」
禿田氏の声は大きくなる。

「セルフブランディングとは… セルフのブランディングという意味です。わかりますか?
セルフブランディングの1つに名刺があります。
現在住んでいる場所が東京都荒川区南千住2丁目の泪橋の下に住んでいても、馬鹿正直に書くのはセルフのブランディング大失敗です。
住所は青山・六本木・原宿・表参道といったオシャレシティにしておきましょう。どうせ連絡はメールと携帯にくるので、嘘の情報を書いていてもバレやしません。私が保証しますよ。
不安な人は名刺を渡す際に『もうすぐ事務所をギロッポンに移転予定で』といっておけば、OKです。物が送られる場合は、基本的に自分から受け取りに行きましょう」
学生たちの手が忙しく動く。

「ナンバーワンでなくてオンリーワンを目指すために、とにかく引っ掛かるキーワードを作ること。これがコツです。スマップもそう言ってますしね。
手広くやろうとすると、ヘタすると…… 何でもできるということをアピールしすぎちゃうと、何も来なくなっちゃうっていうのがあるんですよ。
手広くやって成功しているのは、フューチャー・パイレーツの代表であり、フランキー・オンラインで日本にインターネットを持ち込んだハイパー★メディアクリエイターでジェットセッターの高城剛氏だけですね。あまり指摘されませんが、彼が元祖ノマドワーカーですし」
先ほど、いろいろな肩書きを我々スタッフに自慢していた禿田氏だが……。学生たちには違うメッセージを伝えているのか、高城剛を目指しているのか…

禿田氏は最後に勝間和代や大前研一、森永卓郎、長谷川慶太郎の本を読むように勧めていた。

職業「フリーランス」になった理由

セミナーの後は、終了後のミーティングと打ち上げを兼ねた飲み会に参加する禿田氏。水で割ったような味がする発泡酒をグイグイと飲んでいる。
「世界でイチバン美味しいお酒は…… ただ酒だね」
若さしか取り柄がない女性に囲まれて、非常に満足なようだ。
学生から次のような質問が飛びだした。
「禿田先生は、なぜフリーランスになったんですか?」
沈黙する禿田氏。ジョッキをテーブルに置き、ゆっくりと口を開いた……
「私の著書『気がつけばリストラ、気がつけばノマドワーカーになっていた』にも書いたんだけど、学校を出てから、山■パン高井戸工場サンドイッチ班班長ピクルス担当の契約社員として、10年ほど毎日毎日ピクルスをパンの上に置く作業をやっていたんだけど、ある日突然契約を切られてしまい……」
学生が大きな声で唐揚げを注文する

「そんな時に、稀代の芸術家・岡本太郎の言葉に出会った… そして、とりわけこのメッセージに震えたんだよね。「安全な道をとるか危険な道をとるか、迷ったら危険な道をとる」と」
学生たちが「岡本太郎って誰?」「男闘呼組の人?」とヒソヒソと話しているが、禿田氏は続ける

「クビになるまえにも、毎日同僚とお昼ご飯を食べるのが苦しくて… 鬱になってしまい… 病院にはいってませんが… まあ、フリーランスの道を選ぶのは運命だったのかな」

そろそろ日付が変わるぐらいの時間に、禿田氏は店を出た。泥酔していてフラフラだ。
「よ、酔っ払っている時にツイートすると、翌朝いつもビックリですよ。「あれ、俺がこんなつぶやきをしてる。だけど新しい仕事が舞い込んできている!」ていう具合に」
あまりにも酒臭い息に、スタッフの顔がゆがむ。

「今日は臨時収入が入ったので、シータクで帰宅しますよ、シタークで」
よろよろしながらタクシーに乗り込む禿田氏。
結局、ノマドワークもフリーランスについても、イマイチよくわからなかった取材班だが、禿田氏が胡散臭く、貧乏なのはよくわかったのであった。

(エンディングテーマ)
※あの「ごとうこうたろう」さんが、前編の続きを書いてくれた。ありがとうございます。
勝手に続編 - 密着・ノマドワーカー
ごとうさんの
ほぼ浮浪者だった僕が成功者と呼ばれるようになるまでに実行した大切なこと10
えっ、「ノマド」ってそういうことなの……。
離れて「わかった」鹿児島の特異性
は、必見です。