Hagex-day info

紅茶とお菓子について書いているほっこりブログです

焦らないタクシー通勤

タクシーのドアをコンコンと叩くと、ドライバーはハッとして扉をあけた。

「お客さんねぇ、ちょっと先にイイ女が歩いていたから、それを見ていたら気がつかなかったんですよ」と、私に気づかずドアを開閉しなかった理由をすまなそうに述べた。

「それは仕方ないですよ。私もさっき電車から降りて、20代ぐらいの美人な松たか子似が目の前を歩いていて、夢中になって見ていたら階段から落ちそうになりましたから」と答える。行き先を告げて車はゆっくりと発進する。

自宅から会社には電車で通勤しているが、最後の一駅は乗換が必要だ。雨の日だったり、遅刻しそうな時は、やむなくタクシーを使う時もある。
今日は快晴。時間も余裕もある。ただ、車で会社に向かう際の道が、桜並木になっていたのを思い出して、花見のためにタクシーに乗った。

毎年この時期、決まったメンバーで花見をしていた。しかし、事情とタイミングの関係で、そのメンバーたちと集まって桜を見ることはなくなった。これからも、もうないだろう。

車道に両サイドに並んだ木々は立派な花をつけ、風が吹く度に花びらをまき散らせ、車はピンク色の花片の中かき分けて進んでいく。いつもは早く目的地についてくれと願いながら外を見るが、今日は遅く到着してくれと思った。