初めて朝まで遊んだ日のことを、よく憶えている。
3月初旬のまだ寒い時期。松田君と二人で親不孝通りにあるクラブのO/Dに行くも、平日のためがらがら。床に写ったグルグル回るミラーボールの光にも見飽きて、深夜2時頃にクラブを出る。お金も行くあてもなく、ロイヤルホストで時間を潰し、午前4時頃天神から中州に散歩した。さすがの中州も閉めている店が多く、コンビニエンスストアがオアシスのように輝いていた。
空の暗さがなくなりはじめ頃、ホストクラブがちょうど終わる時間らしく、ビルの出口に並んだホストたちが客を送り出していた。
松田君と別れた後、始発の西鉄バスに乗って自宅に帰った。バスには白い顔をしたホストたちが何人か乗っていた。ホスト家業は大変だ。
プリンスが大好きだった松田君は、東京に行ったきり、その後、連絡することはなかった。
この曲を聴くと、松田君と夜明けまで歩いたことを思い出す。
友達のビリケンと連れたって
アスファルトの冷え切った街に出た
「相も変らずつまらないね」と
愚痴ってみても答えがない
とにもかくにも歩き続けた
夜の行進 旗を派手に振り回せ
夜の行進 せめて派手に振り回せ
おかしくて泣けてくら 夜の空
淋しくて笑っちまう 夜の空
