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Hagexギャルを探せ こじらせ女子「雨宮まみ」の巻

◎Hagexギャルを探せ驚愕の3回目
Hagexギャルを探せ! なんとなんと驚きの3回目。そんなに存在していたのかHagexギャル!! しかし、私の身近で読んでいる人はいないぞ!

さて、今回インタビューする相手はライターの雨宮まみさん。
彼女もこの日記を愛読しており、特に「真のエネミーは配偶者」(http://www21.atwiki.jp/enemy/)ネタがお好きらしい。このチョイスに彼女の業をかなり感じてしまうのは私だけではないでしょう。
雨宮さんはエロ媒体系を中心に活躍されているが、インターネット大好き子には、実の弟にアダルトビデオを勧めるというコンセプトで書かれたブログ「雨宮まみの「弟よ!」」(http://d.hatena.ne.jp/mamiamamiya/)の中の人といった方がピンとくるだろう。

◎こじらせガール奮闘記
さて2011年12月5日に雨宮さんは自伝エッセイ『女子をこじらせて』を刊行。
早速読んでみたが、これは雨宮まみ氏の壮絶な戦いを記録した1冊だった。彼女はいったい何と戦っているか? 親? 恋人? 癌? 彼女のバトル相手は「自意識」だ。

女子をこじらせて
雨宮まみ(著)価格:¥1,575(税込)
発売日: 2011/12/5

誰しも思春期に自意識過剰になり、厨二病や高二病に罹患して悶々とした日々を送る人も多い。
私も高校時代はガロと噂の真相&本多勝一という、サブカル+ジャーナリストというジャンルにハマリ、山田花子山野一の漫画を愛読し、ガロと噂の真相の読者欄に投稿するという暗い〜 暗い〜 青春時代を送った。
あの時、もっと同級生の女の子とデートを重ねていれば、バラ色の人生を送れたに違いない…… と、『女子をこじらせて』を読むと男性の私でも暗黒大陸じゃがたら時代を思い出し、東池袋の4畳半の安アポートで、隣のリーさん一家のイヤラシい声を聞きながら、Gペンを柱に向けて投げてダーツのような遊びをしながら、すすり泣いてしまう……

おっと、ついつい自分語りになってしまったが、個人的にこの本を読むと自分が「痛かった」時代が蘇り「ひ、ひぃぃぃぃ」とスパイダーウォークするリーガンを目撃したママンのような悲鳴をあげてしまう。

◎戦うこじらせガール
『女子をこじらせて』は、雨宮さんが生まれてから高校まで過ごした福岡時代、大学生時代、出版社勤務を経てフリーランスのライター時代と、大きく分けて3つのステージで彼女は自分の過剰に膨れ上がった自意識と戦っているが、ちょっと勝ってはその後、常にボコボコに負けている(殴っているのも自身だが)。
読んでいると「矢吹くんもうやめて!」と、リングサイドで叫ぶ白木葉子のような気持ちになるが彼女はやめない(というか止められない、怖いね!)。
30歳を超えて、いい大人になった彼女は、果たして「こじらせ」に打ち勝つことはできたのか?

そのエンディングは本書を実際に読んでもらうとして、『女子をこじらせて』を読んだ後に、「彼女はいま幸せなのか」と疑問を持った。全国に推定100万人以上いるとされる「こじらせガール」(ちなみに和歌山県の全人口は2011年11月1日現在99万4600人だ)。この本を出すことで「こじらせ家元」になりつつある雨宮さんが幸せになっていないと、他のこじらせガールは希望がもてない!
ポット出版で雨宮さんに話を聞いてみたぞ。


本棚が味わい深いポット出版の打ち合わせスペースにてインタビュー


―というわけなんですが、雨宮さんは現在「幸せ」ですか?
しょっぱなからそれを訊くんですか? 過酷なインタビューですね(笑)。この本を書き終わった時はすっきりして、これでこじらせに一区切りつけた感じだったんです。でも、評論家の佐々木敦さん(@sasakiatsushi)が

『こじらせ』を乗り越えねばならない、そして遂に『こじらせ』を乗り越え得た私はやっと本物の『大人』である、というような思考プロセスは、僕の考えでは『こじらせ』の一部でしかありません。むしろそれこそが『こじらせ』の帰結

Twitterで書かれていて「佐々木さんが私の本とか読むんだ?」って思いつつも「こじらせを卒業できてない」っていうことにガーンと来て、知り合いに話したら「そんなの『うっせーバーカ!』って言っときゃいいんだよ!」って言われて、じゃっかんスッキリはしたものの、こじらせガールを卒業できてるかどうかは微妙だな? と思ってます。なにせ佐々木敦さんが言ってるんですからねぇ。
まぁ、留年か卒業かはわからないですが、今は幸せですし楽しい日々を送ってますよ。
しかし、この本を出したことで私がこじらせガールだということや恥ずかしい黒歴史が全方位的にバレてしまうので「女としての未来を売ってしまったのでは?」という不安が強くありますね。これを読んだ男の人は、私のもとから裸足で逃げ出してしまうのでは…… と考えると憂鬱です。

―この本を読んで、雨宮さんに興味を持つ男性も出てくると思うのですが?
それはヤバいですね。珍味を食べてみたいという人ですよ。もしくは自信のない「こじらせガール」を下に見て「俺より自信なさそうだから、口説けそう」と考えている人。彼らから言い寄られるのは本意ではないですね(笑)。

―雨宮さんのプロフィールを拝見していると「AVライター」と書かれていますが、これはいったいどんな仕事なんですか?
音楽ライターが新譜の紹介や楽曲のバックボーンを解説するように、アダルトビデオを作品ごとにレビューをしたり、出演者や関係者に取材して紹介するといったお仕事です。実際はAVだけでなく、エロ本全般で仕事をしています。全然違うペンネームで官能小説なども執筆していて、普段は自己主張しない職人的なライター仕事がほとんどですね。

―そんな雨宮さんが、なぜこのような自伝エッセイを書かれたんですか?
この本を出す前は「バリバリこじらせ」状態で、そんな自分を悪いと思ってなかったんです。「私はこじらせてるからしょうがない」と思ってたし、恋愛では「こじらせてる私を受け入れて!」みたいな気持ちを持ってました。けど、それって迷惑ですよね。それ以外にもこじらせすぎて卑屈になって人に迷惑をかけたり、不愉快にさせたりして「ずっと『こじらせガール』ではみっともない。なんとか治さないと……」という気持になりかけたところで、書籍のお話が舞い込んで来ました。
とりあえず、今回本を出していただいたポット出版さんのWebで連載をはじめ、こうして書籍になりました。
連載中はかなり悶々とした状態でしたが、徹底的に自己分析することで、真性こじらせ女子からは一皮剥けることができたと自分では考えています。そう思わないとやってられないっていうのもありますけどね(笑)。

ポット出版のWeb連載は、いまも一部見られるようなので、興味がある人は、チェックする価値はありますね。ところで、『女子をこじらせて』は雨宮さん自身の「こじらせ対決奮闘記」でしたが、雨宮さん以外も「こじらせガール」そんなにいるんですか? またこじらせガールの特徴があれば教えてください。
私のまわりにも「こじらせガール」は多いです。彼女たちは重大な欠点を抱えているわけではないのですが、周りの目を意識しすぎたり、気を使いすぎたり、自意識過剰がたたって人間関係、特に異性関係がうまくいかないパターンが多いですね。
彼女たちは見た目は普通なんですよ。むしろオシャレだったり、カワイイ部類の人も多い。なのでパッと見でこじらせてるとはとても思えないんですが、自己評価が低いのは共通していて「足が太いからこのブーツ似合わない」「この歳になって、この服装はないわ」など、実際はそんなことはないのに、必要以上に欠点を気にしすぎて、自分に厳しすぎる判定を下す傾向があるんです。
特に女の子っぽいふるまいや服装に過剰な照れや拒否反応のある人が多いような気がします。
こじらせガールは根は真面目だし、頭がいいからこそ考えすぎちゃうわけで、ポテンシャルは非常に高いんですよ。自分自身に厳しいのも、良く言えば謙虚。だから仕事の場ではきちんと能力を発揮できている人も多いです。企業側も、見た目や若さで女子を採用せず、積極的にこじらせ女子を採用した方が業績がのびると思うんですけどね(笑)。

―問題はどうやってこじらせ女子を見分けるかですが……。
こじらせ女子を見分ける方法の1つに、本棚を見るというのがあります。
美容や占い、モテ本や自己啓発本など一般的な女性が好みそうな本が極端に少なく、山田花子のマンガや根本敬といったサブカル系の中でもゴリゴリな書籍、マンガだと私の世代なら岡崎京子魚喃キリコ、初期の小野塚カホリ、もう少し若い世代だとヤマシタトモコの作品がビッシリ並んでいたり、女性なのにグラビアアイドルの写真集が充実している本棚だったりするとこじらせ女子率は高いですね。


あおい書店町田店では「『女子をこじらせて』刊行記念フェア」が行われており、そこで女子をこじらせて』を購入すると、「こじらせ女子免許証(ライセンス)」をもらうことができる(→詳しくはこちら)。ちなみに私が頂いたこれは、顔写真の下にハンコがないレアバージョン。

―なるほど、本棚はその人のパーソナリティがでますからね。しかし、本棚のチェックはハードルが高いのでもっと手軽な方法はありますか?
でしたら、こじらせガールを褒めてみるというやり方もありますよ。
彼女たちを褒めると大抵は「そんなことない!」と否定し、そこまではいいんですけど、そのあと聞いてもいないのにいかに自分がダメか、自虐ネタをペラペラと喋る可能性が高いです。「かわいいね」って言っただけで「いやもう全然かわいくないですよ! 私なんて女子力低いし部屋汚いし化粧落としたらオッサンみたいな顔してますから!」とか。笑わそうと思ってサービスで言ってるんですが、聞いている方はドン引きですよね……。こじらせガールの哀しい習性です。


『女子をこじらせて』に出てくる「ウーマンリブのポーズ」をやってもらいました。これでセクハラ上司もノックアウト! このポーズの意味は『女子をこじらせて』に書かれています!

―確かにそういう人いますよね。必要以上に損をしている気がします。ぜひ『女子をこじらせて』を読んで卒業して欲しいですね。さて、話は変わるんですが、雨宮さんがHagexギャルなのは本当なんでしょうか?
ええ、本当です。発言小町がまだ「トピ主表示ができない」時代で、今と違って見づらいデザインだった時代に、発言小町のまとめサイト「発狂小町」(http://d.hatena.ne.jp/komachimania/)を見てたんです。それが2008年6月に読売新聞からのクレームで閉鎖してしまって、代わりになるサイトを探していたときにHagexさんのサイトを発見しました。
読み始めてから止まらなくなり、Hagexの過去ログはほぼ全部読みました。それにも飽き足らず、さらなる刺激を求めて「育児・家庭板4大スレッドガイド」(http://d.hatena.ne.jp/hagex/20080904#p2)のまとめサイトの過去ログまで全て読んでしまいした(笑)。読むものがなくなったのでまとめサイトは二、三度ずつ読み返してます。

―そこまで堪能していただきありがとうございます。私の日記を全部読んだ! という人は多いですが、まとめサイトのログまで読みきった人は、初めて見ました。ちなみに好きなテーマとかあるんですか?
やはり「真のエネミーは配偶者」こと「エネスレ」は面白いですね。Hagexを読んでいると色々な修羅場やトラブルが紹介されていますが、エネスレは重みが違います。この人だ! と信用して結婚までしたのに、その相手から裏切られてしまう…… 恋人と違って結婚をするといろいろなものが関係してきますから、物語の深みが違うんです。
「エネスレ」を読んで以来、恋愛関係の相談や悩みが生ぬるく感じられて、発言小町で恋愛関係の話題を見ると「結婚してから来い!」と思ってしまいます。「エネスレ」のおかげで「やっぱり人生の醍醐味は結婚だな」と思うようになりました。

―ちなみにエネスレ系で特に好きなエピソードはありますか?
17歳の処女の女子高生が41歳の男性にレイプされ、無理やり結婚・出産させられるが無事に逃亡する話(http://d.hatena.ne.jp/hagex/20100421)。
農家に嫁ぐが奴隷のようにこき使われ、逃げるにもお金がなく、たまたま下駄箱の上に置いてあった牛乳代と新聞代をもって子供2人と脱出する悲惨な話(http://d.hatena.ne.jp/hagex/20090917/p11)なんか
がお気に入りですね。
「釣りであってもいい!」と思えるほどディテールに説得力があったり、ここまでの話は自分は思いつかない、というほどドラマチックな話が好きです。

―かなりのヘビーなエピソードのチョイスですね。私もその2つの話を読んでいる時は、気分が悪くなりました。では、最後に『女子をこじらせて』の宣伝をよろしくお願いします。
こじらせている人には「なるほど! 悩んでいるのは私だけじゃないんだ!」と共感して、この本をこじらせから脱出するための踏み台にしてほしいと思います。
また、こじらせ経験がない人は「イチイチこんなに考えて行動している自意識過剰な人種が日本にいるんだ!」と新鮮な驚きが味わえるので、どちらの層にもオススメです。
―今日はどうもありがとうございました。


ちなみに『女子をこじらせて』の巻末には「モテキ」でお馴染みの漫画家久保ミツロウ氏と雨宮氏の対談が掲載されている。この対談がかなりヘビーで、『女子をこじらせて』を読んで、フラフラになっている時に、とどめの一撃を与える内容なので、こちらも必見です。


今回はポット出版さんのご提供により、雨宮さんのサイン入り『女子をこじらせて』のサイン本を3名様にプレゼント。締め切りは2012年1月20日。応募は以下のリンクからお願いします。

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