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紅茶とお菓子について書いているほっこりブログです

上京しても夢を諦めるな!漫画「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」はやっぱり面白かった

先日この日記で書いた、フリーライター渋谷直角氏が描いた同人漫画「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」(以下「歌う女の一生」)。
あの日記を書いた翌日に、「歌う女の一生」を手に入れた。なんと、駅のベンチに置いてあった、サンタさんありがとう。

ホームのイスに……!
というのは嘘で、池袋のお洒落雑貨&お洒落カフェで購入しました。店員さんがオイドンをみて、ビクビクしていたのはなぜだろう?
そんなことはどうでもいい!「歌う女の一生」を読んだが大変素晴らしいクオリティだった。あまりにも悲しいエピソードなので、いま泣きながらキーボードを叩いており、誤字脱字暴論があっても許して欲しい。
この作品は鉛筆で書かれた「ネームレベル」の画だが、ストーリーと登場人物が魅力的なので、読んでいると絵のクオリティなんか気にならなくなる。
(※ネタバレはないですが、120%楽しみたい方はこのエントリーを読まないことをお勧めします)
■上京して有名になりたい!(あらすじ)
「歌う女の一生」には味わい深いキャラがたくさんでてくるのだが、キーとなる人物は以下の3人。

カーミィ:本編の主人公。バンド「カーミィ with スモールサークルフレンズ」のボーカル。関西から上京し、普段は「ADSLから光回線への切り替え営業を行うテレホンオペレーター業(恐らく派遣・バイト)」しながら、有名になることを目標としている。


キクイケ:カーミィ with スモールサークルフレンズのメンバー。演奏と作曲ができる


中村:リトルテンダーネースレコードというインディーズレーベルの社長。井の頭公園でカフェの運営も行っている。

「カーミィ with スモールサークルフレンズ」のボーカルであるカーミィは、有名になりたくバンド活動している。同じバンドメンバーのキクイケと肉体関係がある。しかし彼のことは好きでもなく、自分のためオリジナル曲を作ってもらうため体を許しているという、打算的な関係だ。


ソーローのキクイケに中だしされ、怒りながら股間を掃除するカーミィ

そんな中、同僚のミハルがなんと「エイベックスの歌姫オーディション」の最終審査まで残ったことを本人から聞き、焦るカーミィ。
この怒りは、いつまで経っても曲を作らないキクイケにぶつけられ、「カーミィ with スモールサークルフレンズ」を解散し、彼女はソロで活動することになる。


ソロの報告をTwitterで行うカーミィ。ツイート数、フォロー・フォロワー数の設定が絶妙だ。

友人が演劇のイベントを行い、打ち上げにインディーズレーベルの社長である中村がやってくる。有名になりたいカーミィは中村にアタックをかけるが……

これ以上書いちゃうとツマラナイので、ぜひこの後の怒濤の展開は、実際に手にとって読んで欲しい。最後の数ページが凄いので、あぁ、書いてしまいたい!!

■リアルな描写にニヤニヤ
「歌う女の一生」の魅力は、随所に描きこまれた「リアリティ」。そして徹底的にオシャレサブカルの世界と人物を揶揄している点だろう。
主人公のカーミィはオープニングでピチカート・ファイヴの「スウィート・ソウル・レヴュー」(1993年4月7日リリース)で歌うシーンから始まる。また彼女の部屋にあるCDやTwitterのフォロー・フォロワー数といった設定も大変細かい。そして彼女の夢が……「ユニクロのCM曲を歌い、中田ヤスタカにプロデュースしてもらい、アパレルブランドを立ち上げ、TVブロスやマーキーで連載コラムをはじめたい」というもの。
彼女だけでなく、出てくる人間が「ああ、こんな人いそうwwww」とツッコミを入れたくなる。

歌うカーミィ。歌っている曲はこれ↓

最後に出てくる某「ストーリーあるライフマガジン」(オチに直結しているため、はっきりと書けません)が、「これでもか! これでもか! サブカル&インターネットの黒いエキスを抽出したジュースを鼻から入れてやるわ!! このやろこのやろ」と、作者の情熱がビシバシ伝わるパロディ描写が続いてひとりニヤニヤしてしまう。
まあ、描いている人間は「オシャレサブカル側」の人なんだけどね(怒)。

■努力する姿は美しい、しかし…
最初は「馬鹿だな〜」と思ってしまうカーミィの生き様が、何度か読んでいくと「哀れだな…」に変化してくる。
誰もが「自分はみんなと違う」と自意識こじらせ病に一度はかかるだろう(罹患してない人は、こんな日記なんか読まないし)。しかし幸か不幸か、たいていの人は努力の有無に関わらず、自分が凡人であることを自覚する。TVブロスでの連載はないし、ユニクロのCM曲を歌うこともない。
だが、カーミィは「手段は問わずに有名になりたい」と夢のため、好きでもない男に抱かれ、××ッ×をかけられ、××臭くなっても、懸命に努力する。その一途な姿と夢に対する素直さに、読む人間の心は動かされるのだが、「寿司職人を希望しているにも関わらず、パティシエ学校に入学する」かのごとく、努力の方向性が間違っている。
カーミィは別に音楽も×××作成も好きではない。すべては「有名になる」ための手段にすぎない。しかし、本人には全く自覚がない。努力すればするほど、その姿は滑稽でもあり悲しい。

■お前のことだよ
カーミィの姿はマヌケだが、似たような…… いや、それ以下連中はゴロゴロいる。
特に「自称サブカル好き」は「本当にサブカルチャーが好き」なのではなく、「サブカル好きな俺が好き」という、「有名人になった私が素敵と考えてる」カーミィと一緒だ。
しかしカーミィ(自粛)したので、努力も忍耐もない口先だけのサブカル野郎は(自粛)。
「知ってる?『カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』って面白いんだよ! 読んだ?」と自慢げに語る、口先だけのサブカル野郎の姿を思い浮かべるだけで、「その漫画はお前のことを馬鹿にしてるんだよ!」と、自分自身の頭にブーメランが刺さってないか心配しつつも、笑顔で罵倒する。

■余談 なかなか手に入らない感覚は楽しい
インターネットのおかげで「手に入らない」ものが減って来た。高校生のころは漫画家「山野一」が大好きで、彼の著作を手に入れようと必死になっていた。当時はAmazonもYahoo!オークションもなかったので、絶版&品切れになった彼の漫画を手に入れようと思ったら、古本屋をまめに訪れるしかなかった。しかし、所詮福岡の古本屋にはなく、往復ハガキを使って「マンガに強い」古本屋さんに問い合わせをしてみた。インターネットがないから「マンガに強い」古本屋を探すのにも苦労したけど、当時はそれが当たり前だった。
結局、山野一の漫画をすべて手に入れるのは、それから5年ほどかかったのだが、探している間はとても楽しかった。
今回の「カフェでよくかかっているJ-POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生」も、なかなか手に入らずイライラしていたが、入手した時の喜びは格別だった。しかし、渋谷直角氏の2作目「空の写真とバンプオブチキンの歌詩ばかりアップするブロガーの恋」は、すぐに入手したい!


自炊して、Kindleに入れて毎日読んでます。

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(Aさん情報提供ありがとうございました!)