いつから「プリン」はこんなに柔らかく激甘になってしまったのだろうか?
元凶はわかっている、1993年(平成5年)に発売された、パステルの『なめらかプリン』のせいだ。なめらかプリンが爆発的に売れ始めて、世の中には凝固することを忘れた豆腐のような固さで、食べると頭痛がするほどのクソ甘いプリンだらけになってしまった。
食べると歯が折れるぐらいの固さのプリンが好きな私にとって、「なめらかプリン」は悪夢であった。しかも一過性のブームで終わらず、プリンの定番となった。パステルだけでなく、各社が水で溶かした片栗粉のような固さのプリンを発売し、街はやわらかプリンだらけとなった。
そこで、私はカスタードプディング国に逃げ込み、固いプリンを食べた。難民として数年を過していたある日、ミニストップで、「MINISTOP CAFE なつかしのたまごプリン」という商品を見つけた。しかも「かため」と書かれていた。古代ギリシャの数学者アルキメデスは、入浴した際に浴槽の水位が上昇する動きをみて体積を計測することを発見。「エウレカ、エウレカ」と2回叫び、風呂から飛び出して、裸のままシラクサを走り抜けたエピソードは有名だ。
Eureka……それは、何かを発見したときに発するギリシャ語の感嘆詞だ。まさに、ミニストップで、「MINISTOP CAFE なつかしのたまごプリン」を発見したときは、自然と口から「エウレカ!」という言葉が息とともに吐き出た。裸で走りたい気持ちをおさえ、レジに商品を持っていき、静かに会計した。
固いプリンを愛する人にとっては、「なつかしのたまごプリン」に救いはあった。確かに美味しい、そして固い。だが、何かが物足りない。
そんな悶々とした気持ちを抱えて、さまよっていたら、ファミリマートで、神戸プリン25周年特別記念「極み濃厚 神戸プリン」を発見した。「神戸プリン史上、最も濃厚なプリン!!卵黄2倍!生クリーム4倍使用!!」と書かれ、円筒形のプラスチックのカップが、うやうやしくカラー印刷されたボール紙で巻かれている。
どこにも「固い」とは書かれていないが、私のプリンセンサーがこの商品の「ハード・コア」を感じ、即座に購入。
開封の儀を行なう。「バニラビーンズ入りの香ばしカラメルソース」は別の袋になっており、自分の好みでかけることができる。
ソースをかけて、さっそくプリンにスプーンを刺す。激固ではないが、固い……。こいつは期待できるぞ、と感じながら、一口食べると、甘くなく卵の風味が口に広がる。
これだ! 「なつかしのたまごプリン」にはなかった「コク」がある。さすが、卵黄2倍、生クリーム4倍だ。会社で辛い作業をしているときは、おやつに「極み濃厚 神戸プリン」を食べることを希望の光にして、頑張っております。
これが「極み濃厚 神戸プリン」
ボール紙を外すと「バニラビーンズ入りの香ばしカラメルソース」と本体が登場。ソースはそっと外さないと、意外と強力な接着剤のせいで「ばちーん」という大きな音がなり、周りの視線を集める
ソースを外すと鶏のカワイイイラストと25周年の感謝の言葉が登場。外装の黒と白の大人のデザインから、いっきに親しみ安い雰囲気に。
フィルムを引っぺがし、カラメルソースをかけた状態
そういえば、この日記のコンセプトは「紅茶とスイーツのほっこり日記」だったが、やっと今日その一歩を踏み出せた。
ありがとう「極み濃厚 神戸プリン」。