ああ、この映画が観たい! 封切前が待ち遠しい……という作品はあまりない。直近では、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(2015年)だった。ポスターが映画館に貼られ始めると、「マックス! はやく会いたい」と思って周り言うも、反応はイマイチで悲しかったのを覚えている。まあ、その後、怒りのデス・ロードは大ヒット上映になったわけだが。
そして、封切り前が楽しみにしていたのが、「ハードコア」だった。
監督はロシア人のイリヤ・ナイシュラー。そうこの人はネット界ではミュージックビデオで有名な人だ。
ナイシュラー監督が手掛けたMV。
・Biting Elbows - The Stampede(2011年)
・Biting Elbows - Bad Motherfucker(2013年)
ナイシュラー監督は音楽バンド「バイティング・エルボーズ」のメンバーで、上記のミュージックビデオは自分で撮影したもの。特に下の「Bad Motherfucker」を観た時はビックりした! 出来が良すぎて短編映画だと最初思ったもんな~ で、ナイシュラー監督が映画を撮影しているらしい……という噂を聞いて数年。その映画は、2016年にアメリカ、ロシアで公開され「キー―――、見たい!!!」とイライラしていたら、ザ・ウィークエンドのミュージックビデオをナイシュラー監督が手掛け、そのクオリティに再びびっくりするのでした。
・The Weeknd - False Alarm(2016年)
そんなナイシュラー監督が手掛けた「ハードコア」が、4月1日に日本で公開。公開初日に転げるように映画館に行きましたよ。この作品は絶対に映画館のスクリーンで見ないと、面白さが半減どころか1/4減になりそうだからね。映画館以外で観た人は負け組だ。
期待して映画を見に行くと、たいてい裏切られるものだけど、「ハードコア」は見事にこたえてくれた。
いや~ 面白い! 本当に良かった。ストーリー的な部分はどうでもよくて(最初のシーンからオチはわかったし)、96分にわたって、ほどんどずーーーーとドンパチドンパチやっている。最高だ!
ドンパチ映画は大好きなんだけど、多くの作品は一瞬で終わってしまう。そんな銃撃戦消化不良を抱えて長年生きてきた。そこに「ハードコア」が登場したわけだ。これはオールスイートホテルならぬ、オール銃撃戦映画だ(最初のシーンはあんまりないけど)。ドンパチドンパチ、ズガンズガン、ドガンドガン、とありとあらゆる武器が、とてもリアルに使われ、敵に命中していく。もちろん、ど頭がスナイパーライフルで吹っ飛んだり、火炎放射器で火だるまになったりと、痛い痛いシーンも多数出てきます。だが、それがいい! そうだよ、オレたちボンクラどもは、こんな映画を望んでいたんだ!
確かにPOV(Point of View Shot 視点ショット)もカッコよいし、大きな特徴だ。だけど、POVも「カッコよい撃ちあい」を高める要素が第一であって、メインではない。
そして、POVは鑑賞者が「酔ってしまう」という危険性がある。映画のレビューサイトを見ても、「酔っちゃった」という声が多数上がっていた。私も、「クローバーフィールド」で酔ってしまい、FPSゲームをやると、これまた酔ってしまう人間だったのだが、「ハードコア」はやや酔ったで耐えた。おそらく座る位置が後ろの方だったのでよかったのかも。ただ、この映画は「吐きながらでも見る価値」はある。
個人的には笑えるシーンも何か所かあり、ぜひもう一度スクリーンで観たいと思った。日本ではすぐに終わりそうだから、三度の飯より銃撃戦が好きな人は、今すぐ劇場に行こう! 銃撃戦に興味がない人、人が殺されるシーンが楽しめない人は、止めておきましょう。