これは……面白い。
・【暴走】勘違い男による被害報告1人目【粘着】
738 :名無しさん@おーぷん:2016/08/27(土)22:10:34 ID:o3B
大学の同じクラスで、A男と言う無口な男がいた。
話しかけづらい雰囲気で、自分から話しかけることもなくて、離れたところに座っていた。
しばらくすると、なぜか白衣を着てくるようになった。
両手をポケットに入れ、ボタンをとめないで、裾が風にはためくようにして、大股で歩いていた。
しかし大学は文系の学部しかなく、わざわざ白衣が必要な科目もない。
毎日休み時間ごとに(風の強い)屋上で、両手を腰に当て、白衣の裾をはためかせて立っている姿が見られた。
ある意味有名になったものの、誰も話しかけるどころか視界にも入れないようにしていた。
そんなA男が、どうも同じクラスのB子を好きになったらしい。
B子は頭がよくてクールなキャラで、それまでA男と話したことはない。
しかしA男はB子の周りを、白衣をバタバタさせながら黙ってうろつくようになった。
話しかけてほしいんだろうなと思ったが、B子にそんな義理もない。
ある日の帰宅時、B子が自宅の最寄り駅を降りたら、いかにも偶然というようにA男と出くわした。
適当に会釈して通り過ぎようとすると、一緒についてこようとする。
B子は立ち止まり、しっかりA男の顔を見据えて「私に何か用?」と訊いた(これが初会話)。
A男はぱっと顔を輝かせて紅くなり「僕が君のすべてを知りたいって言ったら、どうする?」。
B子、一音一音はっきりと「私は知りたくない」。
「え?あれ?」という顔をしているA男を置いて、B子は通りかかったタクシーで帰った。
739 :738:2016/08/27(土)22:15:03 ID:o3B
翌日、B子からその話を聞いた私や女友達は「これは危ない」と判断し、B子の帰りは私達が交代で送っていくことにした(B子はそれほどのことじゃないと断っていたが)。
数日後、B子と私とで帰りの時、駅のホームにA男が現れた。
無視して行こうとするとA男は「B子と話があるから君(=私)は先に行ってて」。
B子きっぱり「私はない」。
するとA男はいきなりホームの柱(駅名の貼ってある、両手を回してもまだ余る太い柱)に
がっと抱きつき、「嫌だあ、嫌だあ、B子、俺は別れたくない」と泣き出した。
B子はそちらを見もしないで、ちょうど来た電車に私と乗り込んだ。
ホームに残されたA男は柱に抱きついたまま「え?あれ?」という顔でこっちを見ていた。
A男はクラスの男子に「B子に振られた」「あんな冷たい女だとは」と話しかけようとして
スルーされていた。
唯一、A男のことを好きになったのがスズメだった。
A男は昼食を1人で屋上で白衣をはためかせながら菓子パンとか食べていたのだが
スズメたちがその状況を覚え、A男が屋上に出てくると、こぼれたパンくずを狙ってスズメが何羽も飛んでくるようになった。
A男はスズメのためにパンくずをまいてやるようになり、卒業まで屋上でスズメと過ごした。