哀しい話だ。
・今までにあった修羅場を語れ【その16】
645 :名無しさん@おーぷん :2016/02/14(日)21:31:07 ID:gbk
10年くらい前の修羅場。
とある病気で入院していた時のこと。
私の隣のベッドには、20代半ばの女性がいた。
その女性はいわゆる天然系の人で、明るくていつも笑っている、野球やサッカーの話をよくする人だった。
天然系らしく、ちょっと不思議なセンスをした人だったけど、私はその女性と話すのが楽しくて、彼女のことが好きだった。
けれどその女性は時々、声もなく天井を向いたまま涙を流していることがあった。
それはいつも夜のことで、泣くというより、本当にただ涙を流しているだけにみえた。
その女性は多分、彼女が涙を流していることご私にはばれていないと思っていた。
だから私も気付かないふりをして、彼女と笑ってくだらない話をしていた。
しかしある日、彼女のところにある女性がきた。
彼女の母親だった。
彼女の母親が来た途端、彼女の顔から表情が消えた。
いつも笑っていた彼女が、まるで死んでしまったかのように、目だけ見開いて黙り込んでいた。
その表情と普段の表情とのギャップがあまりに衝撃的で、私にとってこれが第一の修羅場。
彼女の母親は、心配してるのよ、いい加減大人になりなさい、身体に気をつけるのよ、とか色々言ってたけど、彼女は一言も返さなかったし、頷いたりもしなかった。
そして彼女の母親が、また来るわね、と言って帰った後も、彼女はずっと死んだような表情のままだった。
何がなんだかわからず、かと言って彼女にどうしたのとも聞けず、その日は彼女と会話することもなく残りの時間を過ごした。
それでも気になって、夜こっそり彼女の方を見たら、彼女はやっぱり声もなく涙を流していた。
そして翌日。
私が起きると、彼女はベッドからいなくなっていて、看護士さんにどうしたのか聞いてみたけれど、看護士さんは何も教えてくれなかった。
私は仕方ないから、待合室にいってテレビでも見ようかと思って廊下にでた。
すると
「どうして死んじゃったのおおおおおお!」
という絶叫が聞こえた。
びっくりしてそちらを見ると、彼女のお母さんが廊下の向こうで泣き叫んでいるのが見えた。
看護士さんに宥められながら、別室に誘導される彼女の母親。
その姿を見た時、私は彼女は多分死んでしまったんだろうなと思った。
そして昨日みた彼女の表情を思い出し、多分その死は彼女の母親がきっかけだったんだろうと感じた。
何があったから知らないけれど、あんなに笑う人が、あんな死んだような表情をする位だから、よっぽど彼女と彼女の母親の間には何かあったんだろう。
単なる下衆の勘繰りと妄想でしかないのとは重々承知はしている。
けれど彼女の母親が前日彼女にあいにこなければ、もしかしたら
彼女は死なずに済んだのかもしれないと漠然とした考えが頭に浮かんど。
その考えは暫く私の心を支配して、長い間抑鬱状態にもなってしまい、第二のスレタイ。
もしかしたら私が死んだような表情の彼女に何か気の利いた言葉でもかけられたら、結果は少し違ったのかな、と今でも思うよ。