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紅茶とお菓子について書いているほっこりブログです

いつも叫んでいる男

駅と会社の往復途中に必ず出会う人がいる。20代前半の男性だ。
彼はラーメン屋の店員で、店名が書かれた黒いTシャツと茶色の帽子をかぶり、毎日毎日大きな声で店名と商品名を叫びながら看板を持ち、道行く人にアピールしている。
雨の日も雪の日も路上に立ち、お昼の11時から夜の10時ぐらいまで、お店がちょっとでも空くと声かけをしている。

彼の存在に初めて気がついたとき、「飲食店は大変だな」と素直に思った。周りには彼だけでなく、居酒屋、洋食屋、サラ金、旅行代理店… 様々な職種人間がチラシを配ったり、看板を振り回していた。しかし、彼以外の人間は一時的に活動しているだけで、昼から晩までずーーと立っているのは彼だけだ。

その後、私の仕事が忙しくなり、心に余裕がだんだんなくなってきた。沈んだ気持ちで歩いていると、元気に叫ぶ彼がいた。「暑い日も寒いも関係なく、あんなに頑張って働いている人間がいる。自分も頑張らないと」と、喋ったこともない彼に励まされた。

くそ忙しい日はさらに続き、プリキュアも驚くほどの体力も精神も限界ギリギリのMAXハート。そんなボロボロ状態で歩いていたら、やはり彼がいた。「毎日毎日、ただ叫んでいるだけお気楽な仕事だよな!」と心のなかで毒づきながら会社に向う。

やっと仕事が終わり自宅に帰る途中、やはり彼が叫んでいた。アメ横のベテラン販売員のようになった彼の声を聞きながら、「日々頑張っていて偉いな〜」と感心した。