読売新聞社が怪しい死体展覧会を主催
またまた凄いニュースが飛び込んでた!(Aさん提供ありがとう)
ななななーんと、世界で最も発行部数が多い(1000万部以上!)読売新聞社が、人権擁護団体が聞いたら憤死するような手段で作られた死体をプラスチックで固めて、横浜で展示会の主催をしているというのだ!
その展示会は「人体の不思議展」だ。1995年から始まり、日本全国・世界各地を津々浦々まわっているイベントなので、ご存知の方も多いだろう。
この「人体の不思議展」は、プラスチックで固められた本物の死体を展示したもの。
人体の水分と脂肪分をプラスチックなどに置き換える「プラスティネーション」という技術は、ドイツ・ハイデルベルク大学のグンター・フォン・ハーゲンス博士が、1978年に生み出したものだ。このハーゲンス博士(写真右上)はちょっとマッドサイエンティストの血が入っていて、単に取り扱いやすい標本を作り出すだけではもの足らず、馬の死体の上に人間の死体をのせたり、死体にバスケットをプレーさせたり(チェスをさせたり、サッカーもさせているぞ)ショッキングな見せ方(全身をハムみたいにスライス切り)を考えて、展示会を開いてしまった。
「医学の展示会」というオブラートに包まれた、この見せのも小屋は世界的に大ヒット。世界各地で開催されて、800万人以上を動員し、巨額の富を生み出した。
ハーゲンス博士はどんどん剥製を作りたかったが、ドイツ・ヨーロッパ内の世論がうるさく(死者を冒涜している!)、経費がかかるドイツ国内を離れて、中国大連に「プラスティネーション」の工房を作る。
2004年ごろ、ドイツの硬派週刊誌「シュピーゲル」が「ハーゲンス博士は中国人の死刑囚の死体を使って標本を作っている」という記事を発表。博士側は当然「そんなことはない」と否定する(Von Hagens denies using prisoners)。が、博士の死体入手に関するは疑惑はこれが初めてでなく、以前にも(2002年)博士にも疑惑の事件があった。
シベリアの首都ノボシビルスクで遺体の盗難事件があり、被害にあった遺体は発見される。だが、発見された時はハーゲンス博士の手によって、既にプラスティネーション加工されていたという事件だ(Scientist denies link to 'snatched' corpses)
死体入手に関してはダーティーなイメージある博士だが、そんなことよりも、中国に作った工房の方が、後の博士に多大なダメージを与えることになる。
もともと大連の工房で働いていた中国人スタッフが辞め、勝手に「南京蘇芸生物保存実験工場」となる「プラスティネーション」工房を作り、勝手に死体剥製を作っていくのであった。
さてここで、日本の「人体の不思議展」に戻ろう。
現在、横浜産貿ホールで開催されいているこの展覧会の主催は、「人体の不思議展監修委員会/日本アナトミー研究所/読売新聞東京本社」となっている。ここで注目すべきは「日本アナトミー研究所」という団体だ。この研究所に関してGoogle先生に聞いても過去のイベントページが引っかかるだけで、研究所自体はサイトを持っていない。また、「jintai.co.jp」でドメイン主を調べてみると「株式会社マクローズ」という会社が引っかかり、そのままサーチエンジンにかけると、イベントプロダクションが引っかかるのみ。しかもちょっと前まで、「人体の不思議展」自体が独自ドメインで運営されておらず(http://www7.ocn.ne.jp/~karada/ だ)、日本の運営・企画団体もかなり怪しい感じがする。
頑張って調べていくと、株式会社マクローズの人間で展示会のプロデューサーである「山道良生」氏という名前がでてくる。彼は以前ZAKZAKのインタビューに答えており、孫引きになるが、なかなか興味深いので一部引用してみよう
(前略)
(展示している死体標本に関して)ギャルにタッチされ、奇妙なポーズの主は一体、何者なのか。展示会のプロデューサー、山道良生さんは「プライバシーの問題で私たちも生前の状況を知ることはできないが、全員中国人です」と話す。
中国人である理由は「現在、『プラストミック標本』を主に製造できるのはドイツと中国。一般の方々に人体を理解してもらう企画意図に賛同し、コストも安い中国・南京の工場を選択した」(山道さん)。
続けて、「実は昨年、日本の新聞で展示に疑問を投げかける報道があり、中国の公安が動く騒ぎとなったが、公安もシロと判断。標本はすべて生前の意志に基づいて献体になった正規のルートのもので疑わしいものはない」と意外な“事件”も明かしてくれた。
(後略)(2004年02月01日(日))
http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/month?id=12663&pg=200402
元記事は“人体の標本”に群ギャル不思議…「触感」が人気(ZAKZAK)
怪しい、うーん怪しい… 人体の不思議展の趣旨のページを見ると次のようなことが書かれいている
今まで人体標本といえば医学、特に解剖学という専門分野でしか知り得なかった世界を一般に公開し、人体標本を通じて「人間とは」「命とは」「からだとは」「健康とは」を来場者に理解、実感していただき、またその人体標本が「あなた自身である」ことの共感を得ることです。
つまり、医学的な啓蒙するため・命の素晴らしさを知らせるためにこの展示会をやっている! と言ってるわけで、先ほどのZAKZAKの記事では「コストが安い中国産を使っている」という発言をあわせてみると、なんだか変だ。
そして、南京の工場…どっかで聞いたことがあるな〜 って上で書いたハーゲンス博士から技術を盗んで設立された「南京蘇芸生物保存実験工場」じゃん!
これが、1日に数人くるか来ないかの展示会ならわからなくもないが、週末は押すな押すなの大盛況の展示会なのだがら、ますます納得がいかない。
人体の不思議展は、日本国内だけで今まで400万人も動員している。各地域によって入場料が違うので一概には言えないが、一人1000円払ったとしても 400万人×1000円=40億円の売り上げだ。しかも、グッズやカタログ、最近では1000円で骨密度を測定したり、たとえ会場費や諸経費を考えても、莫大な利益をあげているのは間違いない。しかも、開催場所の新聞社や地方自治体、博物館などを主催や後援につけている。
もう一つ怪しい点がある。筆者自身、その昔この展覧会に一度行ったことがあるが、その時は「プラスティネーション! プラスティネーション!」という単語が盛んに掲げてあったが、今は「プラストミック! プラストミック!」と書かれいている。この言葉の変化は何を意味するのか?
また、数年前、私がみた展覧会と最近みた人で話をすると、見た展示内容についてかなり食い違いがあり、不思議に思ったものだ。
そんな数々の疑問点を解決してくれる記事が、先週5月22日発売の「週刊現代」(げ、講談社だ(笑))に掲載された。
それは、「養老孟司「『人体の不思議展』という“バカの壁”」というインタビューで、内容はかなり衝撃的なものだ。養老孟司自体、初期の「人体の不思議展」からのメンバーで、ハーゲンス博士とも旧知の仲だ。そんな養老先生のインタビューを簡単にまとめてみると…
・1995年の「人体の不思議展」は養老氏が自費で標本を購入し、日本で開催した
・私が主催した、日本で最初の不思議展に安宅克洋(あたかつたかひろ)氏が見に来る。人体の不思議展が金になると思い、ドイツへ飛んでハーゲンス博士と話をつけ、その後、日本で再び人体の不思議展を開催する
・安宅克洋は日本アナトミー研究所のスタッフであり、現在開催されている不思議展の中心人物
・安宅氏が主催する不思議展の時、養老氏に監修委員になるように依頼される。が、強引なやり方に不信感を抱く
・1998年にハーゲンス博士が安宅氏を訴える。その原因は、興行収入に何パーセントかは博士にいく契約だったが、その契約不履行のため。
・そのトラブル時に養老氏が博士と安宅氏がの仲裁をする。しかし、ハーゲンス博士と安宅氏の関係は冷め、1999年2月に「不思議展」は終了。標本はすべてハーゲンス博士の元に返却される
・安宅氏は中国から、怪しい標本を借りてきて独自に不思議展を開催する
・中国の標本は、素性があやしく、ハーゲンス博士の技術を盗んで作成された可能性がある(当然、養老氏は中国から借りての展示は大反対)
といったものだ。つまり、1995年から1999年まで開催された「人体の不思議展」と現在開催されている不思議展は全くの別物だったのだ! 「プラスティネーション」から「プラストミック」と呼び名が変わったのも、特許対策のため。そして展示内容が昔と今で違うのは当然だ!
週刊現代のインタビューで渦中の安宅氏は「中国の遺体はちゃんとしたもの、また中国の工場はちゃんと特許をとっている」と反論。
しかし、次の情報を見て欲しい。
・横浜デモ:臓器摘出事件と人体標本展の即時停止・真相究明求める(2006年4月13日)
・実物を使った人体標本、法輪功学習者の可能性も(2006年03月31日)
・中国の臓器売買と人体標本の疑惑を語る一体の人体標本(2006年3月21日)
・中共退役軍人が暴露、捕虜を生きたまま標本に?(2005年11年06日)
上記のソースとなった「大紀元」は宗教団体法輪功が運営するサイトなので、眉唾で読まなければいけないが、アンチ中国に対する情報が充実しており、参考にはなる。
彼らの主張を一言でいうと「中国当局は金のために、死刑囚や政府にとって都合のわるい人間を殺し、死体標本の材料としてドンドン販売している!」といったものだ。
正直これらのニュースをみてると、安宅氏の発言は全く説得力がない。
→中国政府の臓器売買のニュースはここにたくさんあり
「人体の不思議展」を最初から縁日の見世物小屋的な売り方をしているなら、文句はないが、「一見アカデミックなイベントだが実は金儲けの道具!」という姿勢に怒りを感じる人は多いのではないだろうか? しかも元となる死体は人道上の問題が非常にあり(この疑惑はハーゲンス博士にもあるのだが)、他人の技術を盗んで作成されたものなのだ。さらに展覧会の名前は同じだが最初と現在では展示物がまったく別物。
また新聞社のくせして、よくわからない怪しげな団体と組んで、こんなイベントを主催をしている読売新聞にも頭にくる(地方の主催した新聞社も同罪じゃ)。なにが「勇気を持って日本のジャーナリズムをリードして来ました by 渡辺恒雄」つーの。とりあえず、頭にきたので「読売新聞の問い合わせ」にメールを打っておいた。返事が楽しみだ。うほほほ。
→電話をかけたい人はこちらから
以上、またまたこの記事をよんで頭にきた人は、自分のブログでぜひ紹介して欲しい。
→6月8日に追加の情報を掲載しました。興味がある人はこちらも読んでくださいね。
・海賊版人体の不思議展(続報)
※<追記> 2011年1月22日
人体の不思議展に関する情報はRedFox氏が精力的に、そして分かりやすくまとめられているので、興味がある人は必見です。
・特集「人体展と中国の人体闇市場」(Red Fox)追記>
●以下参考サイト
・博士の公式サイト
・人体解剖マニュアル 〜一目でわかる人体の不思議〜[4枚組]DVD-BOX
ハーゲンス博士のライブ映像! 死体解剖がよくわかる! サンプル動画もあるよ
・Gunther von Hagens(wikipedia)
博士が大学から訴えられたりといったお茶目なエピソードが満載(笑)
・大ヒット「人体の神秘展」の後続展示会が続々登場(朝鮮日報)
・『人体の不思議』展で楽しく死体と向き合おう(上)(Hotwired)
・【標本】人体の不思議展スレ【献体】(遊園地・テーマパーク@2ch掲示板)
・【中国】実物に触れられる人体標本展、まもなく北京で開催(画像あり)[04/07] (東アジアニュース速報+@2ch掲示板)
・胎児の標本、「人体の不思議」展の会場から盗まれる(*astroblog)
・人体標本のフォン・ハーゲンス氏、ポーランドに工房開設へ(*astroblog)
・人体展示に処刑囚の遺体?(*astroblog)
人体の不思議展について、疑惑を感じた人のブログ
・饒舌なる虚空
・人体の不思議展 横浜
以前いった、不思議展とは全くちがう?
・「人体の不思議展」の不思議(医学都市伝説)
・「人体の不思議展」追加(医学都市伝説)