ダメな映画には2種類ある。愛すべきダメな映画と、金と時間を返せと叫びたくなる映画である。愛すべきダメ映画はレビューを書きやすい。なぜなら、良くも悪くも印象的なシーンや心を動かされる場面があるからだ。
一方、金と時間を返せ映画は、感想を書きづらい。なぜなら離婚調停中の夫婦よろしく、そこには「ネガティブな気持ち」しか沸いてこないので、結果ぼろくそ(漢字で書くと「襤褸糞」)に書いてしまうからだ。しかも、襤褸糞映画がヒットしていた場合、ついつい「なんで、こんな映画でカンドーしているの? バカじゃネーノ」と、禁断の観客批判までやってしまう危険性がある。そもそも他人様が気持ちよく感動していらっしゃる作品を、インターネット上で貶すという時点で、いろいろなリスクが発生する。そう、賢いブロガーなら、ヒットしているクソ映画をクソというのは避けるべきなのだ。
超絶大ヒット映画「君の名は。」を鑑賞した。氏家真知子と後宮春樹の二人の運命に……というボケを書けないぐらい、個人的にはクソ映画だった。あまりにもご都合主義の連続、サッカリンより甘い設定、神がビックリして細部に宿らないほどのリアリティの欠如、「あれ、オレ、予言者?」と思えるほどの意外性のないストーリーなど。途中から「こういう映画なんだから、細かい部分は気にしないようにしよう!」と決意するも、私の決意は秒速5ミリメートルで打ち砕かれた。
どんなに美味しいラーメンを出すお店で会っても、店員さんがラーメンを持ってくるときに親指をズッポリ入れられていたら、私はそれを美味しく食べることはできない。「君の名は。」はそんな映画だった。そもそも美味しいラーメンかどうか疑問だが。
そして、なぜこの映画が大ヒットしているか、個人的には全くわからない。しかし、凄く大ヒットしているのは事実だ。その理由を誰か教えて!