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紅茶とお菓子について書いているほっこりブログです

水夫(かこ)を射殺せるか

モーニングで連載している、かわぐちかいじの『ジパング 深蒼海流』。これは平家物語の漫画化なんだけど、今週掲載されたエピソードは、壇ノ浦で那須与一が平家側の水夫(かこ)を射殺すシーンだった。

水夫は船のこぎ手であり、非戦闘員だ。当時の戦闘では水夫を殺すのはNGだったが、壇ノ浦で絶対に勝たないといけない義経は、那須与一に水夫を射殺すように命じる。非戦闘員を殺すことに躊躇する与一だったが、水夫に向かって矢を放つ。


この矢には弓の名人である那須与一の名前が記されており、水夫たちはこれが流れ矢でなく、自分たちを狙っていることを知り、パニックに陥る。

平家物語にも次のように記述されている。

さる程に源氏の兵ども、平家の船に乗り移りければ、水主楫取ども、或は射殺され、或は斬り殺されて、船を直すに及ばず、船底に皆倒れ臥しにけり
平家物語 (巻11、先帝御入水)

水主=かこ、水夫、楫取=舵取り

いやー ワクワクするシーンだね。勝利を得るために、非戦闘員の漕ぎ手をぶっ殺す。武士道に反する非道なことをやったけれど、壇ノ浦で勝利をした源義経は英雄として、歴史にその名前が刻まれる。

映画『アメリカン・スナイパー』でも、爆弾を抱えて自爆攻撃を行う子供を、主人公が射殺するか・しないかで悩むシーンがあるけど、やはり見ていてドキドキする。以下の予告に問題のシーンが描かれている。しかし、この予告はクオリティが高い。本編を見たくなる作り。

戦うときに、どれだけ「非情になれるか」は重要だ。

例えそれが、町の喧嘩であれ、ネットバトルであれ、非情になれる人間がやっぱり強い。ネットバトルでも人は死んだり、社会的に致命的なダメージを負うことがあるので、力加減というのが重要になる。平家物語やアメリカン・スナイパーは「勝利のため」という目的があるので、非道を行っても、勝利をすれば目をつぶってくれるが、ネットバトルの場合はどうなんだろう?