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紅茶とお菓子について書いているほっこりブログです

山奥での銅鑼の音

▲▲▲▲山道での恐怖体験▲▲▲▲第2巻 より
現代の怪談集「新耳袋」は、編者が嫌いなんだけど、内容は面白い。
その魅力は、無理やり幽霊やら因果やらが出てこない点(でてくる話もいっぱいあるけどね)。2ちゃんねるのオカルト板に投稿された、以下のエピソードも「そのもの」が出てこず、リアリティがあって、読んでいて怖い。

302 :本当にあった怖い名無し:2009/10/05(月) 20:36:12 id:b8BR26Azi
いろいろ事情があって夜にバイクで徳島から香川に抜ける県道3号線のダート区間を走った時の事左手が山、右手が谷、近くに集落は無くて当然明かりも一切無かった暗いヘッドライトのみを頼りに落石と陥没、木の枝を避けながら崖から落ちないように10〜20km/hくらいでのんびり走ってたふと思い付いて止まり、エンジンを切った鼻をつままれても分からない暗さで、目を閉じても開いても視界が変わらない。聞こえるのは自分の呼吸音と鳥の鳴き声だけここで谷に落ちて死んでも誰も気付かないだろうなと思いつつまた先に進む
ダート区間の半ばの少し手前あたりで異変に気付いた車体の右後方、マフラーのあたりから「チリ・・・チリチリ・・・チリーン・・・・・・」って鈴みたいな音が鳴ってたリアキャリアに物は載せておらず、音が出る要素は一切なしクラッチを切ってアクセルを捻ってリミッターに当たるまでエンジンをふかしてみたけれど鈴みたいな音は消えないその異音以外は車体に異常はなし。進んで曲がって止まってさえくれたら帰宅出来るこういう事もあるさ、焦っても怖がってもいい事ないからねえと気にせずのんびり走り続けた
続く

303 :本当にあった怖い名無し:2009/10/05(月) 20:42:54 id:b8BR26Azi
虫の顔面アタックに耐えながらカーブをいくつ抜けた先だろうか。また異変に気付いた左手の山側から妙な低音を聞いた気がしたそっちを向いても当然ながら真っ暗闇、何も見えない俺はちっとした後遺症持ちなもので小さな低音が聞き取り難く、何の音かはっきりしないが、先に進むにつれてだんだん音が大きくなっている気がした
すまん、ちょっと風呂行って来る。すぐ戻る

305 :本当にあった怖い名無し:2009/10/05(月) 21:24:41 id:b8BR26Azi
続き
ドン・・・・・・・・・・・・ジャーン・・・・・・・・・ドン・・・・・・ジャーン・・・・・・・・・ドン・・・・・・・・・・・・
あれは銅鑼か太鼓の音か?
ドドン・・・・・・・・ジャーン・・・・・・・ドン・・・・・・ドン・・・ジャーン・・・・・・
道を進んでいるのに音が聞こえる方向は変わらない
ドン・・・・・・ジャーン・・・・・・・・・ドドドン・・・ジャーン・・・
その時に気付いてしまった
ジャーン・・・ドドドン・・・・・・ドン・・・ジャーン・・・
これはだんだん大きくなってるんじゃないドン・・・ジャーンジャーンジャーン・・・ドドドドドドン・・・
間違いなく近付いて来てるドドドン・・・・・・ジャドドドドドドドドン何かが山の中の急斜面、深い木立を抜けて人間技じゃない恐ろしい速さで走って来てるドドドンドドドジャーンドドドンドドドンドドドンドドドンンドドドンドドドンドドドンドドドン落ち着け、落ち着け、落ち着け、と呟く音の元の位置は俺の左方向、恐らく距離は残り10〜20m
ドドドドドドドドドドドドンドドドンジャンドドドンドドジャードドドドドドドドドドドドンジャーンジャーンジャーンジャーンジャーンドドドン鈴みたいな音が鳴った時に引き返すべきだったと思った時、俺の文字通りの真横で音が鳴った
ドン

307 :本当にあった怖い名無し:2009/10/05(月) 21:42:04 id:b8BR26Azi
手を伸ばせば届きそうな所で太鼓の音が鳴ったそっちを見ちゃ駄目だって本能的に分かってたそこで俺の中の何かが切れたクラッチを握り一速シフトダウン、スロットルを捻ってエンジンの回転が上がったと同時にクラッチを一気に繋いだリアタイヤが一瞬空転したのが一時間に感じたその後はもうフロントタイヤが滑ろうがリアタイヤが滑ろうがお構いなし、昼間でも出さないようなスピードで走り抜けた崖から落ちて死ぬよりもあの音に追い付かれるのが怖かった本能的にここから離れないと何か悪い事が起こると感じてた
ダート区間も終盤、もうすぐ舗装路になるって所で我に返り、停まったサイドミラーは真っ黒、何も映っていない何度か深呼吸して山側を見ないように谷側から後ろを振り返った

310 :本当にあった怖い名無し:2009/10/05(月) 21:55:29 id:b8BR26Azi
真っ暗、むしろ真っ黒テールライトが僅かに後方を赤く染めているだけで何も見えないマフラーあたりから聞こえてた鈴みたいな音も消えていた何だよ・・・と呟いて前を向こうとした瞬間
ドン
俺の後ろ、バイクの左方向からまたあの音がした軽く悲鳴が出て足とケツが地面とシートから2cmは浮いた死亡フラグという言葉が頭の中に浮かんだすぐにギアをローに入れたがクラッチを切り損ね、エンスト。すぐにクラッチを切り、エンジンを掛けようとセルを回すと一瞬だけヘッドライトが消える(仕様です)
その瞬間、タンデムシートで
ドン
鳴りやがった
長くてすまんねもうちょいで終わるよー

313 :本当にあった怖い名無し:2009/10/05(月) 22:16:20 id:b8BR26Azi
基本的に霊だの幽霊だのは信じていないけどこの状況から考えると生きている人間じゃない何かがタンデムシートにいる出来れば家まで連れて帰りたくない。人外と一緒に二人暮らしは退屈しなさそうだけれど、ちと辛い
1秒弱で考えた結論はフロントアップだった幸い舗装路まではほぼ直線のフラットダート急発進し、適当な段差でフロントタイヤを何度も跳ねさせるダート区間を抜けて舗装路に出た後は大っぴらに言えない速度ですっ飛ばした事情を知らない人から見たら基地外にしか見えなかったと思う
その後、山間部を抜けて無事に帰宅した翌日にバイクのメンテついでにカウルとシートをチェックしたけど期待したような手足の跡は無かった先日もその道を昼間にフラッと通ってみたが、土石流で道の一部が消えてる程度で何も起こらなかった以上。読んでくれたお前らに感謝