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紅茶とお菓子について書いているほっこりブログです

映画の鑑賞眼は「クソ映画」を観た数だけ磨かれる

三田紀房の漫画『インベスターZ』の初期のころ、主人公につまらない映画をみせて、何分で出てくるか賭けをしている場面があった。

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そもそもツマラナイ映画は人によって違うし、クソみたいな映画でも最後まで観ないとわからない。なので、『インベスターZ』はアホな作品なのか、質の悪いギャグのどっちかなんだろうと感じて、その後のストーリーも真剣に読まなくなった(モーニング愛読者)。

オモコロのバーグハンバーグバーグが、『インベスターZ』を小馬鹿にした株式投資のPR漫画を作成していたが、このPRを見たとき『インベスターZ』の本質をわかっているんだな、と感心した記憶がある。

で、ですよ!
今年の2月9日に投稿されたはてな匿名ダイアリーが、なぜか昨日はてブで注目されていた。

糞映画なのに途中退席しない人が多すぎるのが謎


あーこれは糞だなっていう低レベルな映画は15分も観ればわかる。


時間が無駄だからおれは席を立つのだけれど、ある日、当たっちまった糞映画で、どれくらいの人が去っていくのか見てみたくて興味本位で後ろで三十分ほど立っていたら、ふたりしか席を立たなくて驚いた。


君たち!こんな糞映画をまだ観つづけるのか!二時間だぞ!


いっしょに観に来た友人・家族に配慮している?いやいやいや、ご友人・ご家族もおそらく糞だと思ってますって。いっしょに映画館を出てショッピングでも楽しんだほうが断然有意義ですよ。


なぜ彼ら彼女らは糞映画を最後まで見れるんだ?糞映画を愛でる文化が日本に根づいているのか?

このエントリーを読むと、2つの突っ込みをいれたくなる。

クソ映画は人によって違う

見出しの通りなんだけど、映画の善し悪し判断は人によって大きく違う。個人的には『君の名は。』(2016年)『ラ・ラ・ランド』(2016年)や『レ・ミゼラブル』(2012年)は、クソつまらない映画と感じるが、世間での評判は高い。「『君の名は。』って面白いよね!」と絶賛している人がいても、「お前のセンスは腐っているな!」とも思わなければ、本人にも言わない。感性が違うだけだ。

私は『シベリア超特急』『幻の湖』といったZ級映画も好きではあるが、これも「鑑賞した人が全員楽しいと感じる映画」とは思わない。
幸福の科学が作った映画『ファイナル・ジャッジメント』(2012年)を劇場で観たことがある。私にとっては面白くなければ、トンデモ度も低い映画でクソクソだったけど、劇場は満席で、映画が終わった時は観客席から拍手が起きてたぞ!

「クソ映画が否か」は自身に対する絶対的な基準であって、相対的なものではない。だから、自分がダメ映画だと感じても、それを他人に適用するのはナンセンスの極みなのである。

己がクソ映画と感じたときは席を立つのか

この回答は簡単だ。
「作品を最期まで観た人間のみが、その感想を口する権利を手にいれる」

最初の15分から30分だけ観た人に、クソ映画と言われても全く信用できない(映画を観ずに、レビューを書く映画評論家もいるが)。そう、最期まで観た人だけが、クソ映画をクソクソ言えるのだ。

さらに言えば、クソ映画はたくさん観た方がよい。しかも、自宅でNetflixやAmazonビデオではなく、劇場でしっかりと真剣に観た方がよい。劇場では逃げ場ないので、真剣にクソ映画と対峙しなくてはならない。
そうすると、この映画のどこがダメか、何がかけているのか、どこを変更すれば良くするのか……という、映画の鑑賞眼が研ぎ澄まされる。素晴らしい映画の良い点を語るのは実は難しい。しかし、クソ映画のクソな部分を語るのは実に簡単だ。

そして、たいてい上映される映画はクソばかりだ。そんなクソまみれの状態で、稀に素晴らしい映画を観たとき「ああ、映画とはなんて素晴らしいモノなんだ」と歓喜の涙が心の縁を伝って、無意識下に垂れていく。

時間の無駄を気にして、傑作や名作しか見ない連中は、実は映画の良さをわかっていない。だから、この増田も映画通ぶっているが、実はまったく映画がわかっていないのである。