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紅茶とお菓子について書いているほっこりブログです

つげ義春の「ゲンセンカン主人」は何回読んでもわからない


初めて読んだつげ義春の作品は「ねじ式」。確か高校生の頃に、福岡天神 新天町にある書店「金文堂」で立ち読みをした。
ご存じのとおり「ねじ式」はストーリーというストーリーがないので、理解できなかった。「なぜこの作品は、こんなに評価が高いのだろう?」疑問に感じたが悲しいことかな、私の周りではつげ義春を読んだ友人がおらず、作品について語ることも質問することもできなかった(同時に「世間の評価が高い」という理由で、自分が面白いと感じていないにもかからず「いい作品だから読みな!」という黒歴史を作らずに済んだのだがw)。
それからすぐに、「ガロ」にねじ式が再録され何度も何度も読んだが、やはり意味が分からない。ただ、読み返していくうちに「きみはこう言いたいのでしょう イシャはどこだ!」「ポキン金太郎」「○×式を応用したものです」と、なんだかセリフが面白くなってきた。

大学に入り、つげ義春の作品をいろいろ読んで、一通り好きになるんだけど、特に気に入ったのが「ゲンセンカン主人」。最初に読んだときは、なんだかわからないけど強烈に記憶に焼き付き、そしてモヤモヤが残った作品だ。
老人ばかりの温泉地にやってきた主人公と、宿泊先の女将さんとその恋人に関するエピソードなんだけど、これがまったくもって意味がわからない。「理屈・理論では説明が難しい作品」と一言で説明はできるんだけど、抜群に上手い絵、独特のリズム、暗い雰囲気といった魅力があるので、「理屈・理論では説明が難しい作品」という解説は納得できない。

大学の頃まで「よくわからない」という作品が嫌いだった。まず読了後・鑑賞後にスッキリしない。そして、シュールな作品にも理屈を求めてしまう。「意味が分からないけど、面白ければいいじゃん」という楽しみ方ができなかったが、年齢を重ねていくうちに、それがうまくできるようになった。

「ゲンセンカン主人」を久々読み返したが、面白かった。そして、やっぱり意味がよくわからなかった(笑)。

以下余談だけど、初めて読んだときは女将さんがタダ不気味に思えた。

女将さんは聾唖者
ただ、今みると「これはこれで色っぽいのでは?」と思えるようになり、自分が大人になったのを実感したね(このコマだけだとわからないけど、所作がセクシーなのよ)。

お腹の段がなかなかリアル


ねじ式 (小学館文庫)