はてな匿名ダイアリーで、以下のエントリーが人気だ。
・兄・兄カノありがとう
上記は7月9日に投稿されたものだが、関連のエントリーが2013年2月27日にもポストされていた。
・兄すいません
「兄・兄カノありがとう」でいちばん引っかかったのは
兄は自分のことを語ろうとしないから、兄が家を出てからの全てを兄カノに聞いた、もう全部。学生ビザだけ取って、母から手切れ金を手にし一人渡米した兄は、怪しいバイトをしながら向こうで大学を卒業。大学の24時間オープンの図書館には、いつも深夜までいたそうな。大学を出て現地で就職、祖国日本に「転勤」に。これまで壮絶なんて言葉で片付けられないものだったと思う。50万円だけ持って渡米、仕事がバレたら最悪は強制送還という環境の中で学費を稼ぎ、並行して学業を修める。3年で卒業し、現地人を押しのけ出世ですか。これもまた、ひとつのアメリカンドリームなのかも。
学生ビザってそんなに簡単にとれるんかいな？ と思ったら、すでにはてな匿名ダイアリーで他の人が指摘していた。
・そろそろアホどもの目を覚ましておく
ビザに関しては…
まずアメリカで大学に入ろうと思ったら、就学ビザ（F1）が必要なわけだが
現在は電子手続きできるようになり楽になったが、収入やら学費についての証明、留学目的などの書類を提出して
アメリカ大使館で面接を受けて初めてビザを取得し留学をすることが可能になる。
増田兄がいくつかは知らんが、911以降ではまず単身渡米して就学は無理だ。
では９０年代なら可能か？これもやはり限りなく無理だ、比較的取得が簡単なF1ビザだったが、学費が払えること不法労働の恐れがない事を
証明できなくてはビザはおりない。まして両親や家族と切れてる奴には100％おりない。アメリカの移民局は世界一甘くない。
このページに就学ビザに必要な書類が、書かれているが、こんなに必要なんだ！ そして、1年間仕事しなくても問題ないことを証明する「財政証明」がないとNG。親に出してもらったと考えることもできるが、手切れ金が50万だと考えるとね…
学費に関して
次に不法労働で学費は払えるか？これもノーだろう。
不法労働でやとってくれる所もあるが、例えば南米系の移民は元締めから紹介された仕事をこなし
マージンを抜かれて最下層で暮らしている。一日働いて20ドルがいいところだろう
それで年間6万ドルに達するアメリカの大学の学費・生活費を支払う術はない
Wikipediaにアメリカ各州の最低時給が書かれているが、不法労働者には適用されない。不法労働で6万ドル稼のは大変だよな。
そして、数か月経ったためか、書いた人が兄の卒業年数を間違えている。
「兄すいません」では
怪しいバイトしながら6年間かけて卒業し
だったが、「兄・兄カノありがとう」では
3年で卒業し、現地人を押しのけ出世ですか
に変わってる。
その他、個人的に気になった点をいくつか（コトメっぽくてスイマセン）。
まず、「兄すいません」で兄の婚約者が
なんであんなに裕福な生活をしているのかもずけずけと聞いてみた。兄カノは、兄が仕事頑張ってることしか知らないらしい。
と兄の仕事ついてあまり知らないにも関わらず、なぜか極めてプライベートな以下のことを知っている。
実は父が残した借金を完済し、わたしの学費も全部払ったこと。最近では姉の結婚式費用出したこと。ついでに留学前の手切れ金も返したことを聞いた
そもそも「兄・兄カノありがとう」で最初に引用した「兄は自分のことを語ろうとしないから兄が家を出てからの全てを兄カノに聞いた〜」とも矛盾してる。妹の学費を支払ったことを知っているのに、彼の仕事をよく知らないなんて、兄カノの知識はかなり偏っているぞ！
また全体に描写力が不足しているところが多く、これまた嘘くさい。「釣り師は自分の想像の範囲を超えることができない」という格言がありますが、ピッタリこれはあてはまる。例えば、
「兄・兄カノありがとう」に書かれいてた
兄がまだ家にいた頃、あからさまにおかずが少なかったり、むりやり家に近い公立高校に入れさせられたり、血の繋がらない母に酷い仕打ちを受けてきた兄。
の部分もリアリティが感じられない、特にHagex脳にはな！
お金持ちのお兄さんの家に居候しているのに、そのお金持ちの描写が「目眩がしそうなくらいの洋書に囲まれた兄の書斎」や「表参道の家も、3台の車も、3人なのになぜか15万の食事」と陳腐。そもそも料理金額なんて、奢られた人は知らないことが多いだろ（笑）。
というわけで、恐らく創作です。
いい話系は、読み手を思考停止させやすいから怖いよね。こちらからは以上です。
