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紅茶とお菓子について書いているほっこりブログです

グロ画像を使った不道徳な道徳キャンペーン

読者の方からタレコミがあったのだが、Facebookで人気の「有名なバイオリン弾き」は限りなくデマのYさんの投稿が、また議論を呼んでいるようだ。
問題の投稿は現在シェア3万9200、いいね!は2万5595人となっている。

■飲酒運転で死んだ娘
今回、Yさんの投稿は、飲酒運転をした友人に巻き込まれた少女のエピソードを紹介し、最後に

以上の文章は、アメリカの飲酒撲滅キャンペーンで使われたスクリプトです。本当の事件かどうかは定かではありませんが、アメリカでは15分おきにこのような事件が起きており、そのためこのような話が紹介されたようです。(日本でも2時間おきに一回以上起きています。)

原文を読む時と同じ体験をしていただくため、原文と同じく、断りなどは入れずほぼ同じ形・順番で訳して投稿させていただきました。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

original text here:
http://www.snopes.com/photos/accident/lastwords.asp

と書き、「車から飛び出た女性の死体」というショッキングな画像が掲載されている。以下、当方のサイトではモザイク加工してます。

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10201030549110964&set=a.2168156208503.2153830.1384647064&type=1(※クリックするとショッキング画像&Facebookの元エントリーがでます)

さて、この投稿には複数の問題がある。
(1)英語のソースには「ピュア・フィクション」と書かれているが、この投稿の訳者は「本当の事件かどうかは定かではありません」と曖昧な表現にしている
(2)直接事故と関係ない事故画像が挿入されている。読んだ人はこのエピソードと関連があると思ってしまう
(3)血まみれの死体らしき女性が写っている
(4)この投稿がシェアされると、見たくもないのにこの血まみれ女性を見る人がでてくる
(5)安易にシェアを勧めている

■読者からの厳しい質問
Facebookのコメント欄でも、この投稿に対して疑問を投げかけている人がいた。

確かに飲酒運転は良くないですが、安易にこのようなグロテスクな写真を「シェア」するよう呼びかけるのはやめた方が良いと思います。
それに、事故車両フロントガラスの不自然な割れ方やリンク先のページなどからモック車両を使った「フィクション」だとわかるはずです。
誤解をしてしまってシェアしてる方が何人もいるので、せめて本当の事故/事故写真ではないという事を表記するべきです。

この質問に対して、投稿主であるYさんは以下のように答えている(Yさんの回答は青字にしています)。


1.グロテスクかどうかについて
facebookは完全に公という訳ではなく、facebookの管轄内です。この英語版も、何十万も拡散され、facebookも消していません。したがって私はこのコンテンツをfacebookの規約上問題ないと判断し、翻訳してポストしました。グロテスクさに問題があると思うなら、facebookにスパムとして報告してみてください。規約を見る限り問題もありません。
(faceboook規約)
http://www.facebook.com/legal/terms

2.画像がこの事故と関係ない
画像が現場の写真であるとは書いていません。ACでもエピソードを紹介して、それに関連した別の場面のイメージを載せることはありますよ。

3.最後の注意書きにも、しつこくこれが本当なのかも「ウソかも」わからないと書いています。そのような性格から、オリジナルリンクも都市伝説を検証する、という趣旨のページをわざわざ選びました。
いかがでしょうか。

また次のような質問も出てきている。

自己責任ですよね グロいし ホラー的な感じ 気分は良くない これをシュアは出来ない 見てやな気分や もし 同じ事になってる人がいたら 思いだして 泣くでしょ 飲酒運転 駄目なのは 解りますが いらねー正義感?な感じがします

この質問については、以下のように回答。

他人を巻き込むのだから自己責任じゃないです。そういう趣旨のお話です。警視庁などのあらゆる法律順守を呼びかけるポスターも問題ですか。ここはfacebookですから、facebookで認められている範囲で投稿しているつもりですよ。

こんな質問も…

グロいと感じてしまう方がいるのは投稿者さんも理解すべきです。世の中様々な方がいますから。

Facebookは友人知人の近況を気軽にタイムラインで眺めることができるのが、魅力の一つです。

それなのに、突然見たくもない写真が目に飛び込んできたらクレームが起こりえることは理解すべきでしょう。

知人が「いいね!」や「シェア」すれば、強制的に写真が飛び込んできますからね。

投稿者の正義感は伝わりますが、他人の心をかえりみず、「Facebookが削除しないんだから規約違反してない」は暴論です。

これまでかなりのレベルのグロい写真がシェアされていたこともあります。それも、動物愛護や反原発、類を見ない残酷なレベルの障害児などを支援、応援するためです。

上記の方々に悪気はないのかも知れません。しかし画像がもたらす人間の脳裏に焼き付ける力はすごいです。一度みたらなかなか忘れられません。

Facebookの規約どうこうではなく、反対派もいることを承知の上で啓蒙して下さい。

「気にしない方」「見たくない方」がいると思いますが、たとえこの記事を見たくなくても、義務ではないfacebookというシステムを利用する以上このような記事に出くわすことに対し合意しているのでは?

facebookはshareという機能がありますし、皆さんこういった使い方ができる時点でこのような記事が出回ってくることを理解してfacebookというSNSを使っているのではないでしょうか。

Facebookが削除しないんだから規約違反してない」は暴論とありましたが、そのようなことを言っていません。私は、「規約を見る限り違反していない。さらに、facebookもこの写真を削除していない。」と言いました。

シェアでないにしろ、facebookをやっている場合は常に自分が不快になる投稿を見かける危険性にさらされます。しかし、規約の範囲内であれば、本人の投稿が必ず優先されるべきだと思います。facebookをやることは義務ではありません。

Facebookは友人知人の近況を気軽にタイムラインで眺めることができるのが、魅力の一つ」だと思いますが、このような写真のシェアも、「私はこれに賛成だ」という友達の近況報告では。SNSのは見たいコンテンツだけを見るような媒体ではないと私は思います。

もちろん、私も反対者が多いということは承知しています。こうなるとある程度わかっている上で、私はこの記事を選び、訳しました。「シェアしてください」を拡散するだけで嫌がる方も多くいるのも経験上知っています。しかし、ここまで賛否がわかれると、もはや「投稿していいかどうか」につきましては、価値判断であると思います。

私は「投稿して問題ない」という方針を変えるつもりはありません。しかしここで頂いたフィードバックはとても貴重ですし、出来る限りクレームに関しては真摯に受け止めようと思っており、このような形でクレームに関して返信しています。

■道徳的なメッセージを反道徳的手法で伝える
Yさんの回答が面白い。まるで「健康のためなら死んでもいい」的な矛盾を感じる。
もともとこの「飲酒運転反対!」という、社会的・道徳的に正しい行為を推進するのが目的だ。しかしショッキングな事故写真を掲載し、シェアされることで不快に感じた人からコメントが来ると「Facebookの規約に反してない」「Facebookのシステム上の問題」「変えるつもりはない」とYさんは回答。
他の人が嫌がることをしており、反社会的・反道徳的なポストとなっている。

■ショッキングな写真は人の判断を狂わす
この騒動を読んで思いだしたのが、「虐待された犬の残酷写真が出回る!」だ。
2012年2月28日、Twitter上で「犬を虐殺している学生がいる。こんな酷いコトする奴をつきとめろ」的な内容とともに、犬の解体写真が添付され、出回った。非常に刺激的な写真なので、見た人は冷静な判断を失って大量にRTしたため、見たくもない犬のバラバラ写真を見ることになったユーザーがたくさん出てくる悲劇が発生した。
「刺激が強い写真」を使う場合、「そもそも本当に使う必要があるのか?」とよーーーく考えよう。それでも利用する場合はモザイク処理や警告文などしっかり載せないといけない。
そうしないと、ブラクラとして使われる、グロ写真と変わらない。
投稿主のYさんは「飲酒運転の危険性を伝えたい」とコメントしているが、結果として「ショック写真」に引っ張られて、肝心なメッセージが読者に届いていない。そしてこの写真自体、このフィクションエピソードと全く関係ない。

みなさんもショッキングな写真を見たら、判断を惑わされず、掲載者にしっかりと文句をいいましょう。