Hagex-day info

紅茶とお菓子について書いているほっこりブログです

ニューズウィークのデタラメコラム

ニューズウィーク日本語版で「発言小町ネタ」
政治・経済を取り扱っている硬派な週刊誌「ニューズウィーク」。1933年2月にアメリカで創刊され、アメリカで310万、それ以外90万部も発行され、2500万人以上に読まれている。
そんなニューズウィークの日本語版のコラムで次のようなコラムが発表された。
「座りたがる妊婦」を非難する是非」
(フロム・ザ・ニュースルーム by Newsweak日本版編集部)
http://www.newsweekjapan.jp/newsroom/2011/10/post-238.php
これは、ニューズウィークの日本語版の編集部の人が執筆したもので、「中国では混んでいても妊婦にバスを譲るが、「発言小町」というサイトを見ると、「妊婦は通勤電車に乗るな」という意見ばかりでびっくり! 実はマナー面において後進国ではないだろうか」というコラムだ。
天下のニューズウィークがこんなコラムを掲載して大変驚いた!


2ちゃんねる・小町のまとめは危険
以前も書いたが2ちゃんねる発言小町の投稿をまとめて「この事件について、ネットではこう言われている!」と受け取るのは大変に危険だ。
なぜなら編集した人間によって、いくらでも恣意的な流れを作ることができるからだ。
今回のニューズウィークのコラムでは「発言小町では妊婦に対するヒドイ意見ばかり!」と書いている。当該のトピックは「妊婦です。優先席でお願いすることついて。」だが、ニューズウィークのコラムと逆のまとめもすぐにできてしまう。
以下、小町からピックアップした意見だが

妊婦さんファイト!
せば 2011年10月3日 23:37
優先席(にはたとえあいていても基本座りませんが)でも、普通の席でも、マタニティマーク見かけたら、自分が近くで座っていれば譲りたいし、妊婦さんには座っててほしいです。
気づかないこともあるのかもしれません。そんなときは言ってくれたらOKですよ!
一昔前自分が妊婦で通勤してた頃、マークなんて無かったのですが
やっぱり妊婦が立っていても、それが優先席の前でも、座っているのが元気そうな人でも、気づいても急に寝る人とか、あからさまに嫌な顔する人もいたり、もちろん譲ってくれる人も居るしいろいろでしたけど、いちいち気にしてると時間がもったいないので気にしないのが一番です。
譲ってもらっちゃったらラッキー!ありがとうございます!たすかります!だし
譲ってくれなくても別にそれはそれで普通の人だし自分が気にすることじゃないです。
ユーザーID:1268704591

え!?
ナムダ 2011年10月5日 0:45
優先座席でしょ?
譲って当然なんじゃないですか?
譲って当然と思うな、なんてびっくりします。
まして仕事辞めろとか外出するなとか怖すぎです。
私は譲ってもらわなかった!と自信満々に言われても…。
私自身も妊娠時に譲ってもらったりはしていません。
でも体力や体調は人それぞれなんだし、他人にまで求めるのは違うと思います。
あと、優先座席に座っている方がそんなに具合が悪い方ばかりとも思いません。
病気なら別ですが、ただ単に疲れているだけ、眠いだけなら譲らない理由にはなりませんよね。
妊婦、老人、障害者、怪我人の優先座席なんですから。
ユーザーID:4913779930

いいと思います。
たんぽぽ 2011年10月5日 2:53
事情があって子供が望めない30代女性です。
私は子供がいないのでよくわかりませんが、
妊娠している状態は、やはり普通の健康状態とは違いますよね。
私は妊婦さんに気づいたら仕事で疲れていても席を譲ります。
ただ、なかなか気づけないんですよね、すみません。
だから、どんどんお願いしちゃってください。
自分の具合が悪ければ断ればいいだけですから。
具合いがよくないので、申し訳ありませんがほかの方にお願いしますって。
今の日本の経済状況だと、妊娠しているからって長期で休めないことは多いですよね。
もっと妊婦さんや子育て中の女性が過ごしやすい環境になって
たくさんの子供たちの明るい笑い声が溢れる世の中になって欲しいと切に願っています。
ユーザーID:7283864000

他にも、「妊婦さん頑張れ!」というコメントはいくつもあるので、それらを引用して「トピ主に対する厳しい意見もあるが、そんな意見にも負けず妊婦さんを応援する素敵な書き込みがたくさんある。ビバ日本!」というコラムが簡単に書けてしまう。
納得できる根拠が示されていないまとめを信じるのは危ない。
ちなみに、同じ発言小町でも「私は妊婦ですが、電車内で43回も席を譲ってもらいました!」というトピックもある。「みなさん妊婦にとても優しいです」(via ARTIFACT clipper


◎ネットの総意を知る唯一の根拠
個人的には「発言小町」をソースにコラムを書いている時点で、狂っていると思えるのだが、それは後述するとして、ネットの書き込みを元に「これがネット民の意見だ!」と書く場合、根拠となる数字を提示するのが効果的だ。
今回の例では、発言小町に投稿された意見を「トピ主が悪い」「トピ主さんは良い」「中立的な意見」の3つにわけると、このトピックの総意が見えてくる。
トピ主の意見や同じユーザーの投稿を除くいカウントしところ、以下のような結果となった。

トピ主に対するコメント総数割合
トピ主が悪い5951%
トピ主は良い3631%
中立的な意見2017%

ニューズウィークのコラムでは「この妊婦を擁護する意見は、少なくともこの掲示板では少数派だった。」と書いているが、まあ、確かに反対派が主流だが、トピ主擁護意見もそこそこある。
現妊婦・元妊婦の人たちの意見をまとめると、さらに面白い結果がでてくる。

トピ主に対するコメント総数割合
トピ主が悪い1451%
トピ主は良い417%
中立的な意見521%
と、圧倒的に妊婦を擁護するコメント割合が減ってしまう(31%→17%)。女の敵は女なのか、それとも妊婦に優しくない日本社会を経験すると辛口なアドバイスしかコメントできないのか…… 天下のニューズウィークさんもこれぐらい分析して欲しいものだ。
余談になるが、ニューズウィークのコラム中に

経済や社会的要因で日本人のストレスは確実に強まっている。掲示板の一律な反応は、その反映なのだろう。それぞれの負荷が増えたことで、他人を思いやる余裕が日本人から失われ、「足手まといになる存在は切り捨てるしかない」という感情が日本社会全体に広がりつつある。「自己責任」という言葉が飛び交っていることが、そのことの何よりの証明だ。

と書かれている。本当にそうなのか?
トピ主のコメントを入れると全部で128ポストあるので、調べてみた。その結果「自己責任」という単語は6回出現している。128個の書き込み(単語数にしたらいくつだろう?)で、6個しか出てこない単語を「飛び交っている」かどうかは、使う人のセンスだ。まあ、私はそうは思わないが(笑)。

上の引用で「掲示板の一律な反応」とあるが、トピ主悪い!の意見は全体の51%なので、これは間違っていると断言できる。


◎そもそもナンセンスな比較
このコラムは「中国のバス」と「東京の殺人的なラッシュアワー」を同じ土俵にあげて論じているのがそもそもの間違いだ。
田舎のオッサンが「いや~ 山手線より西鉄バスの方が快適だ。妊婦さんにも譲るし」語るのは問題ないが、天下のニューズウィークの編集者が、このような比較をするのは、いかがなものだろう。
また、今回の主なソースは「発言小町」だ。この日記を読んでいる人には説明する事もないが、「年収1000万円の夫」「30オーバーでも周りから美人と言われて困っちゃう」「夫の実家は抹殺しろ」という人間がゴロゴロいる世界だ。その場を盛り上げるため、過激な意見をポストしたり、釣り師の投稿も珍しくない。
執筆者も「2ちゃんねる」だったら、ソースにしないだろうか、読売新聞がやっている掲示板なので、よく調べもせずに取り上げてしまったのだろう。
これも、アフィリエイトを目的にした主婦が書いている楽天ブログなら問題ないが、天下のニューズウィーク編集者がよく調べもせずに書いてしまうのは、「書いた人の信用問題に関わるのでは?」と心配してしまう。


◎俺の意見をきけ!
実は最初に筆者の言いたいことがメインディッシュであり、情報元やシチュエーションはオードブルでしかないという今回のような記事は、新聞や雑誌でよくあるものだ。
ただ、ネットを素材にして扱うと、その元が第三者によって簡単に調査・分析できてしまう。
と、いうわけで、マスコミのみなさんは気をつけましょう。そして、読者のみなさんは手抜きの記事を見つけたら、突っ込みましょう。