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紅茶とお菓子について書いているほっこりブログです

母の入院先で

304 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 11:47:38
今からちょうど13年前の夏休みの話。
母が腫瘍があって県立病院(やったと思う)に入院してた。
当時中3の俺は部活の後、毎日毎日見舞いに行っていた。
母と同じ部屋には俺より1つ上の女子の紗希ちゃん(仮名)が居た。俺の母といつも話していて、母と仲が良い。
俺もよく話した。将来の夢とかも語り合った。紗希ちゃんは第一志望校の高校に行けたのに、ずっと入院してると言っていた。
ある日、母の腫瘍を取り除く手術があった。母は俺の心配を気遣ってか、「お金あげるけん、何か楽しんできよ」
と、一万円札をくれた。貧乏なので、俺は嬉しくて何に使おうか迷った。
さすがに一人で楽しむのもつまらないので、紗希ちゃんと一緒に行こうと誘った。
でも、入院中の紗希ちゃんを連れて行くのも・・・・と思ったが、紗希ちゃんは医者に頼んで許可を貰った。

305 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 11:57:05
紗希ちゃんは久々に外に出たみたいで喜んでいた。俺も何か嬉しかった。
でも、長い間運動をしていないので、少し歩くとすぐ疲れるので、休みながら一緒に町を歩いた。
まず先に行ったのは映画館。でも観たいものが無く、そのまま昼食。
昼食が終わり、遊園地(そんなに大きくない)に行くことにした。
電車に乗って数時間、既に午後4時前だったが、思いっきり遊んだ。
午後7時、さすがに帰らないと警察に補導されるんじゃないかと思ったバカ真面目な俺は、急いで電車に乗り、帰った。紗希ちゃんは疲れたようで、電車で寝ていた。
午後9時半過ぎ(だったと思う)、遅い夕食をローソンで買って、県立病院近くの公園で食べた。
灯りもあったのでそんなに暗くはなかったが、紗希ちゃんがこけたら危ないので手をつないで歩いた。

306 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 12:02:44
紗希「OO君、今日はありがとね」
俺 「う、うん。楽しかった?」
紗希「うん、楽しかったよ」
おにぎりを食べながら、こういうような会話が続いた。20分程で食べ終わり、ベンチでボーッと
していた。母の手術は午後2時から始まってるから、既に終わってるだろう。
俺と紗希ちゃんはそろそろ帰ろうと、立ち上がった。生まれて初めてキスもした(好きな人と)。
病室に帰ると、父と母が笑いながら話していた。紗希ちゃんはベッドに入るなり寝てしまった。
俺は今日あったことを父と母に話した。11時ぐらいまで。あまりに遅い帰りに、ちょっと怒られた俺。
そしてお盆。無事に母は退院することになった。

307 :名無しさん@お腹いっぱい。:2009/08/04(火) 12:10:08
ちょっとトイレに行こうと、母が退院準備をしてる最中に抜け出した。
俺はナースステーションで看護師に呼び止められた。
看護師「OO君、紗希ちゃんと遊んでくれたっち?ありがとうね〜・・」
俺 「あ、はい。楽しんでくれて何よりですよ」
看護師「キスもしたんやろ??紗希ちゃん、嬉しそうやったわぁ・・・」
俺 「(苦笑)」
紗希ちゃんはそんな事まで言ったのか、と恥ずかしい気持ちになった。
その看護師から聞いたのだが、紗希ちゃんは中学校時代、イジメにあっていて、彼氏も居なかったそうだ。
でも、俺はそういう紗希ちゃんを好きだった。
看護師「OO君、ホント、紗希ちゃん、嬉しがってたんよ・・・・」
突然、看護師が泣き始めた。いい歳して何泣いてるんだ、と思いつつオドオドする俺。
看護師「紗希ちゃんね、持病の発作で今朝、亡くなったんよ。・・・え、知らんかったん?」
突然だった。紗希ちゃんからは"ちょっと長い検査入院だから病気で入院やないんよ"と言われてたからだ。
紗希ちゃんがどういうつもりで俺に嘘をついてまで、病気を隠したのかは俺には分からんかった。終わり。